論文概要
ウニの養殖は、ブルーエコノミーの原則を推進する有望な手段であり、低い栄養段階*の生物から高い市場価値と栄養価を持続的に生産することができる。しかし、ウニ養殖は数十年にわたり行われてきたものの、中国を除いては持続可能な生産と大規模な発展には至っておらず、これは主に、商業的に取引される大半のウニ種の飼育サイクルが長いことに関連した問題によるものである。
ここで紹介するウニの生産方法は「レーキング」と呼ばれるもので、生産の方法と最終的な生産物の両面において技術的に進化したものである。レーキングは、メスだけを含むバッチからウニを殺すことなく卵を採取する方法で、数回の生産サイクル(年に3回)で同じウニを使用するものである。
「バルキング」と呼ばれる従来の生殖腺増強法では生殖腺が最終的な製品となるが、レーキングはこれと比較すると、複数サイクルの生産となるため収益性が高く、製品を生産するためにウニを殺す必要がなく持続可能であること、さらに生物学的および経済的な観点から従来のウニ養殖に存在した大きな制約を克服できることが明らかになった。
* 生態系の食物連鎖において生物が占める位置を指す
Arnold Rakaj, Luca Grosso, Alessandra Fianchini & Stefano Cataudella
2024/07/08
A sustainable no-kill sea urchin aquaculture method to obtain caviar