混獲を防ぐ対策が、絶滅の危険性が高い海洋生物の漁獲量に及ぼす影響

Effects of fishery bycatch-mitigation measures on vulnerable marine fauna and target catch

Cheng Huang, Jake Rice, Andries Richter, Kaiwen Zhou, Yi Wang, Chentao Wei, Emilio Pagani-Núñez, Philipp N. Maleko, Xiong Zhang, Tien Ming Lee & Yang Liu

2024/09/04

https://doi.org/10.1038/s41893-024-01422-7

論文概要

 

漁業において危急種*の混獲を減らすことは、海洋生物の多様性を保全し、持続可能な漁業を発展させるうえで極めて重要である。混獲を防ぐために様々な技術を用いた対策が導入されてきたが、全体的な効果はよくわかっていない。ここでは、42種類の技術的対策に関してメタアナリシスを行い、対象種の漁獲量と、海鳥・板鰓類(サメ、エイなど)・海棲哺乳類(クジラ類、アザラシ、ラッコなど)・ウミガメの混獲量に及ぼす影響を定量化した。

その結果、これらの対策によって混獲は全般的に減少するが、対象種の漁獲量には統計的に有意な影響がないことがわかった。混獲量を減少させるうえで、(アラーム音や磁石など)海洋生物の感覚を利用した対策による効果は、(漁具の格子や重みづけ、釣り針の改良など)物理的な対策による効果を上回っていた。いくつかの特定の漁具や生物種について有効な防止策は、有用ではあるが、ほとんど使われていなかった。地域の漁業管理組織で導入されている対策に関しては、その大部分(59%)で有効性が確認されたが、それ以外の対策の多くは未だ十分に検証されていない。

本研究の結果は、技術的対策を革新してその導入を促すものであり、持続可能な形で混獲を予防管理するための政策立案や、今後の研究のために重要な知見を提供する。

* 絶滅の危険性が高いと判断された種を指す

 

別のFACTを探す