肉ベースのペットフードとヴィーガン・ペットフードが環境の持続可能性に及ぼす影響

The environmental sustainability of meat-based versus vegan pet food

Billy Nicholles, Andrew Knight

2025/05/13

https://doi.org/10.3389/fsufs.2025.1569372

論文概要

 

急速に進行する気候変動は人類が直面する最も緊急のグローバルな課題の一つである。その影響は壊滅的なものであり、これを緩和するためにはすべての分野において持続不可能な慣行を緊急に是正する必要がある。ペットフード産業は大規模でグローバルに拡大を続ける分野であり、約10億頭の犬と猫がこれによって飼養されている。

ペットフードの生産は畜産業と密接な関連があり、現在までの人為に由来する温室効果ガス排出のうち少なくとも25%を引き起こしてきた原因であり、その割合は実際にはおそらくこれを大幅に上回るものである。世界全体では畜産動物の9%が犬と猫によって消費されており、米国における割合は20%に達している。

この総説では、ペットフードが環境に及ぼす影響に関するこれまでの研究を比較検証し、こうした影響を緩和する対策について提言することを目的とする。ここで検証した全ての研究で一致しているのは、ペットフードが環境に及ぼしている影響の大きさは無視できないものであること、またこうした影響を考慮して対策を取る必要があるということである。なかでも米国では、畜産が環境に及ぼす影響のうち25~30%はペットの食餌に起因するものとされている。

犬と猫の食餌による環境フットプリントは幅広い領域で推定されており、犬の食餌が環境に与える影響は、場合によっては人間の食餌による影響と同程度か、それを上回ることもある。ペットフードに関しては、原材料に何を使用するかが最も重要な要因である。ペットフードによるこうした影響を緩和するため、現状で最も効果的な対策となるのは、動物性材料を使わないヴィーガン・ペットフードへと移行することであり、これを栄養学的に適切に配合することである。

温室効果ガスおよび土地利用を削減するうえでは、こうした移行によって非常に大きな効果が得られる可能性があり、ペットの飼育率が高い高所得国におけるそのベネフィットの大きさは、人々の食習慣を変えることで達成できる環境面のベネフィットの1/4から1/3に相当するとされている。栄養を適切に含むヴィーガン・ペットフードへの移行は、気候変動を緩和するうえで利用可能かつ重要な戦略であり、ただちに実行する必要がある。

 

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