プラントベース食と転移性大腸がん患者の生存期間

Plant-based diet and survival among patients with metastatic colorectal cancer

En Cheng, Fang-Shu Ou, Clare Gatten, Chao Ma, Alan P Venook, Heinz-Josef Lenz, Eileen M O'Reilly, Peter T Campbell, Chaoyuan Kuang, Bette J Caan, Charles D Blanke, Kimmie Ng, Jeffrey A Meyerhardt

2025/01/01

https://doi.org/10.1093/jnci/djae213

論文概要

 

背景: プラントベース食は、非転移性大腸がんの患者における生存率の向上と関連がある。しかし、こうした関連が転移性大腸がんにもあるかは不明である。

方法: 米国・国立がん研究所が支援する臨床試験(CALGB/SWOG 80405)に登録された患者のうち、転移性大腸がんに対する治療の開始時に食事頻度質問票に回答した1,284名を分析の対象とした。

臨床試験のデータから3種類の指標を算出し、このうち総合プラントベース食指数 PDIは、種類を問わずあらゆる植物性食品の摂取量を増やし、動物性食品の摂取量を減らすことを示す指標である。また、健康的なプラントベース食指数 hPDI は、全粒穀物・果物・野菜などの健康的な植物性食品の摂取量を示し、不健康なプラントベース食指数 uPDI は、果物ジュース・精製穀物・加糖飲料など健康に配慮しない植物性食品の摂取量を示す指標である。これら3つの指標の五分位が(患者の)全生存期間・無増悪生存期間* とどのように関連するかについて、多変量コックス比例ハザード回帰分析を用いて推定した。

結果: 追跡期間(中央値 6.1年)の経過中に1,100例が死亡し、1,204例でがんの進行が観察された。生存期間で見た場合、PDI が最も高い五分位群の患者では最も低い五分位群に比べ有意に良好であった(全生存期間のハザード比(HR)= 0.76 [0.62-0.94]、Ptrend = 0.004; PFS = 0.81 [0.66-0.99], Ptrend = 0.09)。hPDI についても同様の結果が観察された(HR = 0.81 [0.65-1.01], Ptrend = 0.053; PFS = 0.80 [0.65-0.98], Ptrend = 0.04)。一方、uPDI と生存期間の悪化には関連は見られなかった(HR = 1.16 [0.94-1.43], Ptrend = 0.21; PFS = 1.12 [0.92-1.36], Ptrend = 0.42)。

結論: プラントベース食は転移性大腸がん患者における生存期間の改善と関連しており、こうした傾向は特に健康的なプラントベース食で強いことが示唆された。今後の研究では生存期間を向上させる原因について検証する必要がある。

* がん治療の効果を評価する指標の一つで、治療開始からがんの進行や再発が確認されるまでの期間、または患者が亡くなるまでの期間を指す

 

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