ミートレス・マンデー運動の起源と発展

The origins and growth of the Meatless Monday movement

Richard D Semba, Peggy Neu, Pamela Berg, Jamie Harding, Shawn McKenzie, Rebecca Ramsing

2024/03/14

https://doi.org/10.3389/fnut.2024.1283239

論文概要

 

ミートレス・マンデーは、個人の健康と地球の健康のために食生活から肉類を削減することを奨励する世界的な運動である。本稿では、一次資料・二次資料・アーカイブ資料を包括的に調査し、ミートレス・マンデーの起源、歴史的背景と発展過程、および公衆衛生分野における同時期の動向について検討した。調査に用いた資料は、米国食品局*が発表した文書およびデータベース等から抽出した記事やメディアである(ProQuest Historical Newspapers・Newspapers.com Academic・ProQuest US Newsstream・ProQuest Canadian Newstream・ProQuest International Newsstream・Google.comなど)。

ミートレス・マンデーは、第一次・第二次世界大戦中に推進された「ミートレス・デー(肉を食べない日)」から着想を得て、広告企業の幹部であり公衆衛生の活動家であるシド・ラーナーによって2003年に構想された。2003年から2023年にかけて着実に拡大し、食の専門家やトークショーの司会者、著名なシェフがその活動に関わってきたことに加え、世界中の学校や都市、レストラン、企業、公的機関などが参加してきた。教育機関におけるミートレス・マンデーは、2009年のボルティモア市公立学校、2019年のニューヨーク市公立学校などで実施されたのが最初である。

2009年に英国で始まったミートフリー・マンデー運動では、ポール・マッカートニーとその娘たちが発足に関わった。米国・動物愛護協会 Humane Society of the United States (HSUS)はミートレス・マンデー運動を奨励し、米国内の200以上の教育機関においてその導入を支援してきた。2003年から2023年にかけて、ミートレス・マンデーは40カ国以上に広がり、ブラジル、アイルランド、ベルギーをはじめとする国々の公立学校で実施された。

この間には、肉の大量消費が健康に及ぼす悪影響に関する知見や、温室効果ガスの大量排出と環境破壊に関する研究結果、さらに工場畜産における動物福祉の問題が知られるようになり、多くの人がミートレス・マンデーの推進に加わることになった。

第一次・第二次大戦時の「ミートレス・デー」は、米軍や欧州の連合国に食料を供給するための愛国主義的な動機から始まったが、それに対してミートレス・マンデーにおける主な動機は個人の健康、環境や動物福祉に関する懸念に関するものであった。その起源は比較的小規模なものであったが、その後のミートレス・マンデーは、個人と地球の健康のために肉の消費を減らす手段として世界的に認知される大きな運動へと成長した。

* 第一次世界大戦中に連合国の食料備蓄の管理を担った機関

 

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