代替肉の消費、政治的な右派・左派と環境問題への関心はどう関係しているか

論文概要

 

肉の消費は環境と公衆衛生に悪影響を及ぼしており、代替肉を普及させて肉の消費量を減らすことは、こうした外部性を削減する方法として有望であるだけでなく、同時に食肉製品で重視される味と食感を維持することも可能となる。しかし、代替肉市場は予想されたようなスピードでは拡大していない。代替肉の消費にはさまざまに異なる要因が関わっているが、ドイツでは伝統的に肉が食生活の重要な要素であることから、本研究ではてドイツを事例としてこの問題を検証する。

消費者の政治的志向(リベラル/左派と保守/右派)や社会人口統計要因が代替肉の消費量と関連するかどうかを検証するため、代替肉の売上で見た消費者の嗜好データを個人小売業者1025名から収集し、社会人口統計データ、2017年から2021年にかけてのドイツ国内の92地域における選挙結果と合わせて分析した。また、気候変動対策について高い目標を掲げる政党の選挙結果が代替肉の消費量と関連しているかどうかについても検証した。

その結果、代替肉の消費量はドイツ全土で大きく異なっており、これには地域間の社会人口特性および投票行動の違いが関連していることがわかった。緑の党や、気候変動対策に強い意欲を示す政党に投票することは、代替肉市場におけるシェアと正の関係があった。一方、ドイツで最も保守的な政党は気候変動に対応する意欲は最も乏しく、同党に投票することは代替肉の消費量が低いこととつながっていた。食品メーカーは従って、こうした有権者層を特にターゲットにしたマーケティング戦略を推進すれば代替肉の市場シェアを拡大することができると考えられる。

 

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