心理学的構成概念としての人間中心主義、その構造と相関

The structure and correlates of anthropocentrism as a psychological construct

Paweł Fortuna, Zbigniew Wróblewski, Oleg Gorbaniuk

2021/05/11

https://link.springer.com/article/10.1007/s12144-021-01835-z

論文概要

 

環境保護をめぐる議論では、環境倫理における人間中心主義的な立場と環境生物中心主義的な立場からの主張が衝突している。野生生物の保護を主張する立場からは、人間中心主義は生態系危機の主因であるとして批判されているが、心理学的構成概念として人間中心主義的な志向の根底にある構造は不明確であり、人間中心主義に関して他の構成概念との関係を決定できるような心理測定尺度は存在しない。

このようなギャップを埋めることを目的として2つの研究を行った。概念としての人間中心主義に関しては、哲学上の議論で区別される目的論・形而上学・認識論・価値論の側面を包含するものと解釈し、「人間中心主義信念尺度」として測定できるようにした。

研究1・2で得られたデータについての検証的因子分析では、人間中心主義が一次元の心理構成要素であることが明らかになった。研究2ではまた、人間中心主義には環境問題に対する意識と負の相関がある一方で、ロボットに対する否定的態度・宗教の中心性*1・右翼権威主義*2と正の相関があることが明らかになった。以上の結果は、人間中心主義の心理構成要素としての妥当性と心理測定における信念尺度の信頼性を支持するもので

あった。

 

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