成人2型糖尿病の治療におけるベジタリアン・ヴィーガン食 無作為化比較試験のシステマティックレビューとメタアナリシス

論文概要

 

プラントベースの食事パターン(ベジタリアン・ヴィーガン食を含む)は、健康的な体重の維持や血糖コントロールの改善、糖尿病合併症のリスク低減に効果があるとされていることから、2型糖尿病の管理にも活用できる可能性がある。糖尿病の臨床ガイドラインではベジタリアン食が推奨されているが、ランダム化比較試験で有効性を検証した研究に基づく最新の知見を踏まえたシステマティックレビューは存在しない。

本稿では、成人の2型糖尿病患者におけるベジタリアン食と非ベジタリアン食の効果について比較検討した。1998年から2023年5月までに発表されたランダム化比較試験を抽出するため、MEDLINE・CINAHL・Cochrane CENTRAL Database of Controlled Trials・Food Science Source・SportsDiscusのデータベースを用いて検索した。2名の独立した評価者がデータを抽出し、バイアス・リスクの評価にはCochrane RoB 2ツールを用いた。統合したデータにDerSimonian-Lairdランダム効果モデルを適用し、平均値の差(MD)と95%信頼区間(CI)で表現した。異質性の検定にはI²統計量を使用し、エビデンスの確実性はGRADEアプローチを用いて評価した。66件の論文について全文を精査し、7件のランダム化比較試験(参加者770名)を最終的なシステマティックレビューに採り入れた。

ベジタリアン食は、ヘモグロビンA1c および体格指数 BMI を低下させる可能性が高い(エビデンスの確実性は中程度)(MD(95% CI):-0.40%(-0.59, -0.21)および MD(95% CI):-0.96 kg/m²(-1.58, -0.34))。また、糖尿病治療薬を減量できる可能性があり(対象研究3件のうち2件、確実性は低い)、非ベジタリアン食と比較してグルコースの代謝クリアランス(インスリン感受性)を改善できる可能性がある(確実性は非常に低い)[MD(95% CI):10%(1.86, 18.14)]。空腹時血糖値・空腹時インスリン値・LDLコレステロール値に対してベジタリアン食は影響していなかった。

以上の結果から、成人の2型糖尿病患者に関しては、栄養ケア・マネジメントにおける選択肢にベジタリアン・ヴィーガンの食事パターンを含めて良いと考えられる。

 

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