畜産による温室効果ガス排出量 新たな最小推定値は16.5%である

Emissions from Animal Agriculture—16.5% Is the New Minimum Figure

Richard Twine

2021/06/02

https://doi.org/10.3390/su13116276

論文概要

 

気候科学から生まれた知識は、ただちに多くの利害関係者によって取り上げられ、科学研究における引用や、さらに広く文化の中で再生産される。これは、その知識がもはや正確なものではなくなったとしてもそのままで変わることはない。本稿には二つの目的があり、第一には畜産からの温室効果ガス排出量についての定量的検証であり、第二には、この問題について良く知られた国連食糧農業機関(Food and Agricultural Organization; FAO)による調査研究が生産効率の最大化に主眼をおいている理由を考察することである。

具体的には、畜産からの排出量は、FAO によれば全温室効果ガス排出量の14.5%に達するとされているが、このトピックに関してFAO が自ら実施した研究を分析すると、よく使われるこの推定値はもはや現状に沿ったものではないことがわかった。データソースに関するFAOの説明に立ち戻ったうえで、畜産からの排出量についてより新しい分析手法を用いたところ、その最小推定値は全温室効果ガス排出量の16.5%に更新すべきであることが明らかになった。

FAO は畜産の「環境効率」を向上させる技術に重点を置いているが、このような傾向について、多くの他のエビデンスに基づいて畜産物の消費削減が求められていることを参照しつつ批判的に検証する。FAO によるこのようなアプローチには、認識論的な意味での一種のバイアスがあると考えられる。

 

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