論文概要
この研究では、機械学習を用いて、英語の書籍、映画、テレビ、スピーチ、インターネットにおけるさまざまなタイプの種差別を特定した。
言葉は、種差別などの偏見を含んだ人間の文化や価値観を映し出す重要な鏡である。 私たちがどのような言葉づかいをしているのかを見ることで、社会における種差別の現れ方をよりよく理解することができると、この研究の著者たちは考えている。
ウェブサイト、書籍、テレビや映画の脚本、会話のトランスクリプトなど、研究に利用できる英語のテキストは多々ある。 この研究で、研究者らは機械学習モデルを用いて、人間とさまざまなカテゴリーの動物(コンパニオンアニマル、「魅力的な」野生動物(イルカなど)、「魅力的でない」野生動物(ヘビなど)、食用に使われている動物)を表すために、これらのメディアでどのような言葉が使われているかを比較した。
彼らのモデルは、単語が他の単語と一緒に使われる頻度によって、単語に点数をつけた。 例えば、”human “という単語が “precious”(価値を表す)という単語の近くでよく使われ、”pig “という単語がそうでない場合、”human “という単語により高い価値スコアが割り当てられる。 このスコアによって、「人間」と「豚」が日常会話でどのように描かれているかが明らかになる。
著者たちが知ろうとしたのは、人間と動物が[以下]4つの異なる概念との関連で人間と動物がどう話題になっているのかである。
- 気遣い(Concern): 「思いやる(caring)」、「同情する(sympathize)」、「助ける(helps)」 などの言葉によって示される。
- 無関心(Indifference): 「距離を置く(detach)」、「無視(neglectful)」、「無関心(unconcerned)」などの言葉によって示される。
- 価値: 「貴重な(precious)」、「重要な(important)」、「大切な(cherish)」などの言葉で示される。
- 価値のなさ: 「役に立たない(useless)」、「劣る(inferior)」、「重要でない(unimportant)」などの言葉で示される。
さらに研究者たちは、人間中心主義的種差別(他の動物よりも人間を優遇する種差別)と伴侶動物種差別(他の人間以外の動物よりも伴侶動物を優遇する種差別)という2種類の種差別について調査した。
その結果、ヒトは、ヒト以外の動物のすべてのカテゴリーよりも「価値」との関連性が高いことがわかった。 コンパニオンアニマルとヒトは、「気遣い」と同程度の関連性を示した。著者らは、私たちがコンパニオンアニマルに対して使う言葉は、彼らとの感情的な親密さを反映していると主張している。 これは、コンパニオンアニマルの価値が人間よりも低いと考えられている場合でも成り立ちうる。
コンパニオンアニマルと「魅力的な」野生動物は価値と同程度に関連していたが、コンパニオンアニマルは、人間以外の動物の他のすべてのカテゴリーよりも気遣いと関連していた。 最後に、魅力的な野生動物は、食用にされる動物よりも気遣いとの関連が有意に低く、魅力的でない野生動物に比べて価値との関連性が有意に高かった。
総合的に判断して、著者らは、私たちの日常的な言語には、両方の形態の種差別が存在すると主張している。著者たちは、自分たちの発見が、人種差別や性差別のような他の偏見に関する研究[の結果]と類似していると指摘している。
この研究の範囲外ではあるが、言語における種差別が他の動物に対する私たちの行動に影響を与える可能性を示唆する研究もある。 このことから、動物擁護者たちは、他の動物に対する明らかな偏見を示す私たちの言葉づかいを指摘し、他の動物種を受け入れやすいものに変える方法を提案すべきである。
※本記事はこの記事の最下部にある論文のFaunalyticsのリサーチャーによる要約を、同団体の許可を得て翻訳したものです。
原文タイトル:Speciesism in everyday language
論文著者:Leach, S., Kitchin, A. P., Sutton, R. M., & Dhont, K.
公開日: 2023/01/01
論文URL:https://bpspsychub.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/bjso.12561

