肉の嗜好と主観的な社会経済的地位

Jerkies, tacos, and burgers: Subjective socioeconomic status and meat preference

Eugene Y Chan, Natalina Zlatevska

2019/01/01

https://doi.org/10.1016/j.appet.2018.08.027

論文概要

 

人類が進化してきた過去において、肉を食べる者は強い力を持った存在であり、そのため人間は肉を社会的地位を示すものとして見ていた。肉と地位の間にはこうした象徴的なつながりが存在しており、これは今日も続いている。従って、心理学における補償の理論によれば、主観的な社会経済的地位 subjective socioeconomic status (SES) が低い人ほど肉を好むはずである。これは、地位を持たない人々にとって肉がその代わりとなるかも知れないためである。

3つの実験を行ってこの仮説を検証した。自分の地位 (SES) が低いと感じている参加者は、高いと感じている参加者に比べて、肉ベースの食品をより好んだ(実験1)。こうした効果の原因は、空腹感や権力感ではなく、地位を求める欲求であり(実験1-2)、同様の効果は植物性食品に関しては見られなかった(実験3)。これらの結果は、肉と地位の間に象徴的なつながりがあることを示唆しており、これまでの研究で実証されてこなかったことは興味深く、食の嗜好との関連を実証するものでもある。

本研究の結果は、健康のため肉食を控えることを医師が助言する場合や、肉食によって地球温暖化が悪化することを環境活動家が主張する場合に引用できるかもしれない。研究の意義や今後の可能性についても併せて議論する。

 

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