肉をめぐる行動と政策: 工場畜産と動物虐待の関連は、人獣共通感染症よりも「効果的」である

Addressing Behavior and Policy Around Meat: Associating Factory Farming With Animal Cruelty “Works” Better Than Zoonotic Disease

Olivia E. Gunther, Cara C. MacInnis, Gordon Hodson, Kristof Dhont

2023/08/31

https://doi.org/10.1080/08927936.2023.2243738

論文概要

 

動物由来の製品を使うことをめぐって人々の態度や行動は変化することがあり、従来の研究では動物への虐待について知らせることによる効果が検討されてきた。しかし、こうしたアプローチによる効果が、工場畜産によって人獣共通感染症が広がるリスクを知らせることと比べてどう異なるかはわかっていない。

本研究では、人獣共通感染症に関する情報を提供した場合、動物への関心・人間の健康への関心がどのように刺激され、その結果、肉を食べる意欲の減退につながるかどうかを検証するため、動物への虐待に関する情報、お中立的な対照条件の情報を提供した場合と比較した。さらに、このような情報によって、工場畜産の状況を変えることを支持する態度がどの程度まで変わるかについても検証した。事前登録された実験において、次のいずれかに関する情報を参加者(454名)に提示した:工場畜産によって人獣共通感染症が広がるリスク、工場畜産における動物虐待、比較対照条件。

動物虐待に関する情報に接した参加者では、他の2つの条件の参加者と比較して、肉を食べる意欲が低下し、工場畜産の状況を変えることをより強く支持する傾向が見られた。工場畜産に関連した人獣共通感染症のリスク、および動物虐待の2つの条件を合わせて対照条件と比較すると、肉を食べる意欲や工場畜産を変えることを支持する態度における変化を媒介していたのは、動物の健康と福祉に対する懸念であることがわかった。

これらの効果に対して人間至上主義がどのように影響しているかを検証した結果、すべての条件において有意な効果が認められ、人間至上主義が強いほど肉を食べる意欲が強く、工場畜産の状況を変えることを支持する態度は弱くなることが明らかになった。

本研究の結果は、重要な情報を選んで提供することによる介入効果を実証するものであり、畜産物の消費削減を掲げる行動や政策への支持を集めるうえで、動物虐待に関する情報提供が有効であることを強く示している。

 

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