赤肉の多量摂取に関連する慢性腎臓病 1990年から2021年における疾病負荷の推移

Trends in the burden of chronic kidney disease related to high red meat intake from 1990 to 2021

Miaofei Dai, Haixu Guo

1970/08/23

https://doi.org/10.1186/s12889-025-22560-3

論文概要

 

目的: 赤肉の多量摂取に関連する慢性腎臓病について、「世界疾病負荷研究 Global Burden of Disease」 のデータを用いて、1990年から2021年までの世界における疾病負荷の推移と空間分布を体系的に検討し、ターゲット層を絞った予防対策に向けた科学的エビデンスを提供する。

方法: 疾病負荷の評価には年齢で調整した死亡率および障害調整生存年率を用いた。性別・年齢・地域・社会人口統計指数のレベルに分けて疾病負荷を分析し、その推定年間変化率を算出して経時的変化を評価した。今後の慢性腎臓病による疾病負荷の動向について、年齢-期間-コホートによるモデル、ベイズ年齢-期間-コホートによるモデルの2つを用いて分析した。

結果: 赤肉の多量摂取に関連する慢性腎臓病では、1990年から2021年にかけて年齢調整死亡率および障害調整生存年率は増加しており、その推定年間変化率はそれぞれ1.33%および1.07%であった。男性における疾病負荷は一貫して女性より高く、死亡率は85~89歳でピークに達した。社会人口統計指数の高い群における障害調整生存年率は10万人当たり6.59で、低い群における2.38に比べて有意に高かった。疾病負荷は2016年から2018年にかけて一時的に減少し、2018年から2021年にかけては95歳以上で減少していた。

結論: 赤肉の多量摂取に関連する慢性腎臓病による疾病負荷は、人口統計学的特性および地域による格差が顕著であり、一部の期間に限って例外はあるものの、全般的には増加する傾向にあった。これらの結果は、公衆衛生としてターゲットを絞った介入策が必要であることを示唆しており、特に男性や社会人口統計指数が高い地域の住民など、高リスクの人々に対する食事指導が必要である。今後の研究では、こうした格差の基底にある生物学的メカニズムや社会的要因の解明に取り組む必要がある。

 

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