近すぎて食べられない? 動物との連帯、アニマルウェルフェアと抗生物質の使用

Too Close to Eat? Solidarity with Animals, Animal Welfare and Antibiotic Use

Albert Boaitey, Icon,Michaela Eden, Simon Jette-Nantel

2021/10/08

https://doi.org/10.1080/10888705.2021.1986713

論文概要

 

食肉の消費は、畜産動物に対する親近感をはじめ様々な要因に影響される。この研究では、動物との連帯*、畜産における動物の扱いと抗生物質の使用に対する考え方について心理尺度を測定し、豚肉の消費量との相関関係を調べた。米国の回答者265名からデータを収集し、相関分析と媒介分析を行った。

結果では、動物との連帯と環境保護を重視する信条の間には、中程度ではあるが正の相関関係が見られた。畜産動物の扱いに対する考え方、抗生物質の使用に対する考え方、動物との連帯についても、それぞれのスコアの間には正の相関があった。また、環境保護についての信条、畜産動物の扱いについての懸念は、いずれも豚肉の消費にマイナスの影響を与えていることがわかった。しかし、抗生物質の使用についての考え方、動物との連帯が豚肉の消費に及ぼす影響は、いずれも環境保護についての信条から由来するものであった。

これらの結果は、動物に対する社会的共感性が食品の選択に大きく影響している可能性を示唆している。しかし、その効果はより広い意味での自然との繋がりの一部でもある。従って、(抗生物質の使用のように)人工的で本来の自然に反した畜産業の実態に取り組むためには、総体的な視点からアプローチする必要がある。

 

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