魚類における嗜好・回避・動機、アニマルウェルフェアの観点からみたその重要性

Preference, avoidance, motivation and their importance to fish welfare

Caroline Marques Maia, João Luis Saraiva, Eliane Gonçalves-de-Freitas

2023/12/29

https://doi.org/10.1111/faf.12812

論文概要

 

これまでの研究によれば、魚類には恐怖・痛み・喜びなど、いくつかの情動を経験する神経生理学的および行動学的メカニズムが備わっていることが報告されている。このことは、当事者の主観的な感覚を根拠とするウェルフェアを考えるうえで極めて重要である。なぜなら、魚類にポジティブあるいはネガティブな感情を引き起こす物理的条件であれば、それはすなわち情動状態に影響を及ぼしているということになるからである。

環境中の様々な属性に対する魚類の「好き」「嫌い」を理解する方法の1つは、その行動において一貫して見られる選択(嗜好)と環境資源や特性へと向かっていく傾向(動機)を評価することである。このレビューでは、魚類における嗜好性と動機に関するテストの評価方法を提案し、そこで影響を及ぼす可能性のある方法論的限界と潜在的なバイアスについて議論する。さらに、アニマルウェルフェアの観点では、魚類の回避反応についての理解を深めることによって、これらのテストを補完し、あらゆる飼育環境において魚類の生活の質を向上させることができる。

動物の嗜好性と動機に関するレビューはこれまでにも見られたが、本稿ではこのような評価手法を魚類のアニマルウェルフェアに応用する問題について初めて取り上げた。

 

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