EAT-Lancet 食の栄養充足率 スウェーデンにおける大規模コホート研究

論文概要

 

背景: EAT-Lancet プラネタリーヘルス食では植物性食品が重視され、動物性食品を控えることが推奨されている。シミュレーションによるモデリング研究によればこの食事法で十分量の微量栄養素を摂取できるとされているが、栄養素が欠乏する可能性についてはいまだ懸念があり、その理由としては研究手法が様々に異なることや、食生活に関するデータとバイオマーカーのデータから栄養素の摂取状況を検証した研究が極めて少ないことがある。食事から生理的要件を満たすのに十分な必須ビタミン・ミネラルを摂取できる割合を栄養素充足率と呼ぶが、本研究ではこの充足率とEAT-Lancet食の遵守度との関連を評価し、遵守度に関するスコアリング法の違いによって結果にどのような影響があるかを検証した。

方法: 食事とがんに関するスウェーデンのマルメ・コホート研究から取得したデータを利用し、1991年から1996年に登録された25,970名を対象とした。妥当性を検証された食事歴法を用いて食事摂取量を調べ、これに基づいて各栄養素の摂取量を算出した。EAT-Lancet食への遵守度は7種類の異なるスコアリング方式を用いて測定した。微量栄養素(葉酸・ビタミンD・セレン・亜鉛・ヘモグロビン)に関して、バイオマーカーのデータが存在する参加者を対象として、栄養素の摂取量との関連性を線形回帰モデルおよびロジスティック回帰モデルを用いて検証した。

結果: EAT-Lancet食の遵守度が高くなるほど、栄養素の摂取量は推奨量を上回る傾向にあった。しかし、その程度はスコアリングおよびモデリングの手法によって異なっていた。総エネルギー摂取量の影響を調整した場合、栄養素を充足できる可能性は高くなった。また、遵守度が高くなると微量栄養素を充足しやすくなり、こうした傾向が見られたのはビタミンA・ビタミンE・チアミン・ビタミンB6・葉酸・ビタミンC・カルシウム・マグネシウム・カリウム・鉄・亜鉛であった。

各栄養素のバイオマーカーを見ると、葉酸ではEAT-Lancet食の遵守度が高くなるほど欠乏のリスクが低下する傾向が見られた。しかし、女性では遵守度が高くなると貧血のリスクがやや上昇していた。セレン・亜鉛・ビタミンDの欠乏リスクに関して、女性では遵守度による違いは見られなかった。一方、男性では、遵守度が高まるとビタミンDの欠乏リスクがやや低下していた。スコアリング方式の一つでは、遵守度が高くなると亜鉛の欠乏リスクの低下が見られた。

解釈: EAT-Lancet食では十分な微量栄養素を摂取することが可能であり、女性における貧血を除けば欠乏症のリスクが高まることはない。スコアリング方式やエネルギー量を調整するモデリング手法によってアウトカムには違いが見られたことから、持続可能な食生活を評価するためには標準化された枠組みが必要である。

 

原文タイトル:Nutritional adequacy of the EAT-Lancet diet: a Swedish population-based cohort study

論文著者:Anna Stubbendorff, Ulrika Ericson, Elinor Hallström, Jessica Samuelsson, Emily Sonestedt, Daniel B Ibsen

公開日: 2026/02/12 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.lanplh.2025.101416

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