赤身肉購入に対する課税と警告ラベルの影響:米国消費者におけるランダム化比較試験

Impact of taxes and warning labels on red meat purchases among US consumers A randomized controlled trial

Lindsey Smith Taillie, Maxime Bercholz, Carmen E. Prestemon,Isabella C. A. Higgins, Anna H. Grummon, Marissa G. Hall, Lindsay M. Jaacks

2023/09/18

https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1004284

論文概要

 

背景

赤身肉の摂取を減らす政策は、気候変動を緩和し、公衆衛生を改善するために重要である。われわれは、米国において課税と警告ラベルが赤身肉の購入に与える影響を検証した。課税と警告ラベルで赤身肉の購入を減らせるのか?、これが研究の主要な問題である。

方法と結果

2021年10月18日から2021年10月28日まで、実物に近い仮想のオンライン食料品店で買い物をする課題に参加する米国の成人3518人を募集した。参加者は、以下の4条件のいずれかのグループに無作為に割り付けられた:比較対照群(課税も警告ラベルもなし、887人)、警告ラベル群(赤身肉を含む商品の横に健康と環境への警告ラベルを表示、891人)、課税群(赤身肉を含む商品は30%の値上げ、874人)、警告ラベルと課税の併用群(866人)。赤身肉購入の割合と回数(一次アウトカム)の検証にはフラクショナルプロビット回帰モデルとポアソン回帰モデルを用い、購入した栄養素を二次アウトカムとして検証するために線形回帰モデルを用いた。ほとんどの参加者は女性であり、赤身肉を週に2回以上消費し、家庭におけるすべての食料品の買い物を行っていると答えた。比較対照群では赤身肉を含む品目の購入割合が39%(95%信頼区間(CI)[38%、40%])であったのに対し、警告群・課税群・併用群では、赤身肉を含む品目の購入割合が低くなり、警告群で36%(95%CI[35%、37%]、p=0.001)、課税群で34%(95%CI[33%、35%]、p<0.001)、併用群で31%(95%CI[30%、32%]、p<0.001)であった。同様のパターンが赤身肉の購入回数についても観察された。比較対照群と比較して、併用群では購入したカロリーが減少し(-311.9kcal、95%CI[-589.1kcal、-34.7kcal]、p=0.027)、税金群および併用群では購入した飽和脂肪が減少した(-10.3g、95%CI[-18.1g、-2.5g]、p=0.01および -12.7g、95%CI[-20.6g、-4.9g]、p=0.001)。どのグループでも塩分の購入には影響は見られなかった。警告ラベルでは赤身肉が健康的で環境に優しいという認識が弱まったのに対し、課税によってコストに対する認識は強くなった。この研究における主な限界としては、本調査の参加者の社会人口統計学的な特徴が実際の米国の人口と異なること、食料品を実際にオンラインで購入しているのは米国人口の約30-40%であることがあげられる。

結論

仮想のオンライン食料品店において、警告ラベルと課税によって赤身肉の購入が減少した。

 

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