インセンティブのない行動介入では、出版バイアスの影響を除外すると、気候変動に対して実質的な緩和効果はない

論文概要

 

一般市民に対する行動介入は、低コストで環境に配慮した行動を促せる手段として提唱されている。しかし、その有効性に関して従来の研究で報告された推定値にはばらつきが大きく、有意な結果のみが選ばれている可能性がある。本研究では、インセンティブのついていない行動介入で得られる効果について、既存のエビデンスを再検証した。

Nisa ら(2019)が91件の研究から算出した効果量の推定値144件に対し、出版バイアス調整した全てのモデルを平均化してロバスト・ベイズ・メタ分析(RoBMA)を適用した。得られたデータからは、出版バイアスとモデルの不確実性による影響を多階層モデルで除外した場合、平均的な効果はゼロとなることが強く示唆された。

メタ分析における平均値がゼロである事後確率は 0.984 であり、平均値がゼロであるという仮説をゼロでないという仮説と比較したベイズ因子(BF01)は63.5倍と、いずれも極めて高かった。したがって、世帯および個人に対する行動介入について、従来の研究で報告されてきた平均的な便益は、主に出版バイアスのほか、潜在的にはその他の小規模研究効果を反映している可能性がある。

分析によれば研究間の異質性は小さく、この結果は一部の介入手法には効果があることを示唆している。以上の結果から、平均的に見て、世帯や個人に対する行動介入にインセンティブがついていない場合、気候変動に対して実質的な効果をもたらす可能性は低いと考えられる。

 

原文タイトル:No evidence that nonincentivized behavioral interventions effectively mitigate climate change after adjusting for publication bias

論文著者:Adam Hardaker, Igor Asanov, František Bartoš, Stephan B Bruns

公開日: 2026/05/05 

論文URL:https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgag150

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