実験用霊長類の行動管理に関する国際調査

論文概要

 

研究のためにヒト以外の霊長類を繁殖・飼育している施設における行動管理の状況について、これまでで最大規模となる調査を2019年から2020年に実施した。この調査では、欧州連合(EU)・英国・アメリカ合衆国における状況を比較して地域による違いを明らかにし、改善すべき課題を示すことを主な目的とした。

これらの地域の49施設における霊長類の管理状況について詳細な情報を収集した。ほとんどの回答者が所属機関で飼育している霊長類の頭数を報告し、その総数は50,842頭であった。調査結果からは、霊長類の行動管理の手法には地域によって大きな違いがあることが示唆された。英国およびEUの施設では、行動管理の多くの側面においてベストプラクティスの導入が最も進んでいた。これには、群れで飼育されている霊長類の割合が高いこと、子どもが母親から離される時期に配慮していること、囲いが設置されていること、規制や認定基準で定められた最小床面積より大きなケージが使われていること、床材など破壊できるエンリッチメントが取り入れられていることなどが含まれる。

2003年と2014年に米国で実施された調査結果と比較すると、運動ができる広い囲いを備えた施設は増加しており、これを利用する頻度も増えるなど、近年では前向きな変化や進展が見られる。これまでの調査では、群れ飼育には健康管理や人員不足に伴う制約、科学機器の不足といった障壁があるとされていたが、こうした問題は近年では緩和されている。

霊長類を群れで飼育する施設は、一部の種では増えたものの、全ての種で見ると2014年以降の6年間に増加は見られなかった。米国では、ケージ飼育の霊長類に破壊可能なエンリッチメントを与えている施設の割合は変化していなかった。

行動管理には様々な側面で制約があると見られているが、こうした問題は知識の共有と十分なリソースがあれば克服可能であり、霊長類の福祉を向上させ、良質な科学研究を推進できることを今回のデータは示している。これらの知見をもとに動物福祉を向上させるベストプラクティスのための指針を示すとともに、結果について考察を加えた。

 

原文タイトル:Evaluating Behavioral Management Practices for Laboratory Nonhuman Primates: An International Survey

論文著者:Kate C Baker, Fiona R Sewell, Mark J Prescott

公開日: 2026/01/03 

論文URL:https://doi.org/10.3390/ani16010138

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