炎症性腸疾患の発症と進行における食習慣の影響 アンブレラ・レビュー

論文概要

 

炎症性腸疾患(IBD)の患者数は高い水準にあり、これにはクローン病や潰瘍性大腸炎などが含まれる。食習慣の要因は IBD の発症と進行に様々に関与しており、効果的な予防・治療戦略を考えるうえではこうした相互作用を解明することが不可欠となる。本稿のアンブレラ・レビューでは、システマティックレビューおよびメタアナリシスで得られたエビデンスを包括的に統合し、これらの複雑な関連について検証する。

食習慣において IBD の発症率の上昇や進行に関わる要因としては、赤肉や加工肉の摂取量が多いこと、その他の加工食品や精製糖の摂取量が多いこと、野菜・果物・食物繊維の摂取量が少ないことが挙げられる。その他のほとんどの食品群については、研究結果が一貫していないか、IBD やクローン病、潰瘍性大腸炎との明らかな関連性は示されていない。危険因子との関連については潰瘍性大腸炎とクローン病では違いが見られ、クローン病では食物繊維の摂取量が増えると発症率は減少するが、潰瘍性大腸炎では明らかな関連は見られないようである。

食物繊維は、腸内細菌叢との相互作用を通じて腸管上皮細胞によるバリア機能の維持に寄与し、炎症を軽減する可能性があり、このことは腸内の炎症メカニズムや、IBD の発症と進行において大きく関わっていると思われる。

発酵性糖質やポリオールを控えめにした食事は症状を軽減できるものの、腸内細菌叢への影響や栄養素の充足度に関しては懸念がある。地中海食やベジタリアン食、穀物・糖分・乳糖を控えめにした食事パターン(特定炭水化物食)に関しても IBD の発症率の低下や進行の抑制との相関が見られる。IBD とこうした食事パターンとの関係は、炎症性バイオマーカーにも反映されている。IBD の治療には一般に薬物療法が用いられるが、十分な反応が得られないことが多い。

本稿のアンブレラ・レビューの結果は栄養指導のためのエビデンスを示すとともに、IBD に対する従来の治療方針を補完する重要な知見を提供するものである。このシステマティックレビューは PROSPERO データベースに登録されている(CRD440252)。

 

原文タイトル:Diet, Food, and Nutritional Exposures and Inflammatory Bowel Disease or Progression of Disease: an Umbrella Review

論文著者:Camilla Christensen, Andrea Knudsen, Erik K Arnesen, Jan Gunnar Hatlebakk, Ida Sofie Sletten, Lars T Fadnes

公開日: 2024/08/08 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.advnut.2024.100219

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