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中国の畜産動物福祉の動向

法律・ガイドライン 法律 畜産法(2006年) 豚屠殺管理条例(2008年) 豚屠殺実施方法管理条例(2008年) 動物に適切な飼育環境を与えること。輸送は必要な空間、食べ物、水を与えなければならないこと、人道的な屠殺の奨励が規定されている。 →原文を翻訳した詳細はコチラ ガイドライン 豚を人道的に屠殺する技術規範(2008年) 国家が作ったものだが法的強制力はない。屠殺場へ豚を降ろす際の角度は20度以内、追込み方、飲水設備の設置(病気の豚の畜舎も含む)、シャワーの時間は2時間を超えるべき・・などOIEの屠殺の動物福祉基準よりも、きめ細やかに記述されている。 →原文を翻訳した詳細はコチラ ブロイラー福祉屠殺の技術仕様-山東省(2016年) 補鳥、輸送、積み込み、積み降ろしの過程で鶏のストレス緩和策を講じる必要がある 作業者は補鳥の際の特別なツールを使用するか、片羽だけで鶏を捕まえる代わりに鶏の両羽をつかむために両手を使わなければならない 鶏を引っ張って引きずることは禁止 食肉処理の前に、ガスの使用などのスタニング(気絶処理)を採用する必要がある 国内で初めての鶏の福祉屠殺ルールとなる。 山東省は国内有数の鶏肉生産地でもある。この仕様は、青島農業大学と、鶏肉の加工会社であるNine-Alliance Groupを含むいくつかの食品生産者が主導して作成した。人道的手技の導入でNine-Alliance Groupの年間コストは30万ドル増加。しかし同社のYang Shengren氏は 「それは私たちの製品を海外で受け入れやすくし、多くの国に輸出することができます」と言う*1。 中国政府の動き 獣医学生向けの最初の動物福祉教科書を発表(2014年) WAP(世界動物保護協会)と非営利の動物福祉団体が共同で作成したこの本には、動物福祉に関する法律と、実験動物、畜産動物、ペット動物、および他の種類の動物に関する問題が含まれる。 教育省は2013年に、獣医学のカリキュラムに動物福祉を含めることを決定しており、この教科書が配布されることになる。 WAPと中国獣医協会の調査によると、2012年時点で獣医学教育を教える中国の61の大学のうち、33のみが動物福祉教育を含んでいるという*3。 中国の農業福大臣、国連食糧農業機関(FAO)の会議で、動物福祉を積極的に推進することを約束(2017年) 2017年10月12日、Yu Kangzhen副大臣は、政府機関、動物福祉団体、大学、研究機関の400人以上の代表者が出席したこの会議で次のように語った*4。 「動物福祉の促進は、農業の発展にとって重要な選択であり、食品安全と健康的な消費にとって重要なだけでなく、現代社会における人間の思いやりという面でも重要です」 「中国の伝統文化は、愛と感謝の気持ちで動物を扱うというコンセプトを常に提唱している。世界の主要な開発途上国として、中国は経済と社会の開発のための客観的要件に合わせ、動物福祉を積極的に推進します」 そしてYu氏は、動物福祉を強化するために次の点を提案した。 •動物福祉の技術基準と規制を確立し、検査、評価、監督サービスを推進する。 •動物福祉の促進のために法的枠組みを支持する。 •動物の福祉に取り組む際には、農場の持続可能な発展を促進する。 •他国の考えを理解するために国際交流を行う。 動物福祉基準「中国動物福祉アセスメント一般原則」が、中国農業省の一部である国立動物飼育標準化委員会により承認(2017年) 中国獣医協会(CVMA)と30以上の企業が合同でこの基準を作成。動物福祉評価の範囲、方法、基本原則、および要件をカバーしたものとなっている。CVMAのSun Zhongchao氏は次のように述べている*6。 「農業省が可決した、動物福祉という文字を含む、中国最初の業界標準です」 「高密度と劣悪な環境条件を特徴とする貧弱な動物福祉慣行は、病原体の蔓延を促進し、薬物使用を増やし、食品中の残留抗生物質のレベルを高める。したがって、動物福祉の改善により、…

EUディレクティブ:ブロイラー規制

EUのブロイラーの飼育の最低基準となるディレクティブ 2007/43/EC of 28 June 2007をアニマルライツセンターで翻訳しました。EUのディレクティブの基準は、あくまでも最小限のルールという位置づけです。このルールは日本の畜産業を基準に考えると非常に高いものですが、EUの養鶏農家はすべて守っていることが必須なのです。 英語の本文はこちら このEUディレクティブは、動物保護団体が基準を作成して100以上のグローバル企業が採用しているベターチキンコミットメントの一つの項目にも使われており、どの国の企業であっても今後鶏肉を仕入れようと考えた場合は意識しなくてはならなくなる基準です。日本の低い法規制を守っていても、消費者、投資家は一切評価はしてくれないということを、知っておくべきでしょう。 欧州連合(EU)理事会ディレクティブ 2007/43/EC of 28 June 2007 食肉生産目的で飼育される鶏を保護するための最小限のルールの提示(EEA関連テキスト) (第1条、第2条は定義等なので省略します) 第3条 鶏の飼育に対する要求事項 メンバー国は以下の点を保証するものとする。   全ての鶏舎は付録文書Iに記載された要求事項に従う   必須の検査、および監査と追跡調査(付録文書 III で必要とされる項目を含む)は管轄当局、または正式な獣医が実行する メンバー国は、養鶏場内、あるいは養鶏場の鶏舎内の最大飼育密度が、常に33kg/m2を超えないことを保証するものとする。 第2項からの特例措置として、メンバー国は、所有者または飼育者が付録文書 I に記載された要求事項に加えて、さらに付録文書 II に記載された要求事項にも従うという条件を満たすならば、より高密度な環境で鶏を飼育することを規定してもよい。 第3項に従い特例措置が認められた場合、メンバー国は、養鶏場内、あるいは養鶏場の鶏舎内の最大飼育密度が、いかなるときも39kg/m2を超えないことを保証するものとする。 付録文書 V に記載された基準を満たす場合、メンバー国は、第4項で述べた最大飼育密度を最大3kg/m2まで増加することを許可してもよい。 第4条 鶏を飼育する人への訓練と指導 メンバー国は、自然人である飼育者が自分の職務に関する訓練を十分に受講済みであることを保証し、かつ適切な訓練課程が受講可能であることを保証するものとする。 第1項で述べた訓練課程は、動物福利面を重点的に取り扱い、とりわけ付録文書 IV…

動物の愛護及び管理に関する法律 2019改正法

※アニマルライツセンターが動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律から読み取って作成した法文であるため誤りがある可能性があります。正式な法文は施行時(1年以内)に出されます。 第一章 総則 (目的) 第一条  この法律は、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。 (基本原則) 第二条  動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。 2  何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。 (普及啓発) 第三条  国及び地方公共団体は、動物の愛護と適正な飼養に関し、前条の趣旨にのつとり、相互に連携を図りつつ、学校、地域、家庭等における教育活動、広報活動等を通じて普及啓発を図るように努めなければならない。 (動物愛護週間) 第四条  ひろく国民の間に命あるものである動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるようにするため、動物愛護週間を設ける。 2  動物愛護週間は、九月二十日から同月二十六日までとする。 3  国及び地方公共団体は、動物愛護週間には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるように努めなければならない。 第二章 基本指針等 (基本指針) 第五条  環境大臣は、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。 2  基本指針には、次の事項を定めるものとする。 一  動物の愛護及び管理に関する施策の推進に関する基本的な方向 二  次条第一項に規定する動物愛護管理推進計画の策定に関する基本的な事項 三  その他動物の愛護及び管理に関する施策の推進に関する重要事項 3  環境大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。 4  環境大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 (動物愛護管理推進計画) 第六条  都道府県は、基本指針に即して、当該都道府県の区域における動物の愛護及び管理に関する施策を推進するための計画(以下「動物愛護管理推進計画」という。)を定めなければならない。 2…

動物愛護法改正の要項 2019

動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案要綱   第一 動物の所有者又は占有者の責務規定の拡充 動物の所有者又は占有者は、その動物について環境大臣が飼養及び保管に関しよるべき基準を定めているときは、当該基準を遵守しなければならないことを明確にすること。   第二 第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等 一 登録拒否事由の追加 都道府県知事が第一種動物取扱業の登録を拒否しなければならない要件として以下の事由を追加すること。 1 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 2 外国為替及び外国貿易法(動物の輸出入に係る違反に限る。)、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律及び特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 3 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者等 4 第一種動物取扱業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者 5 使用人のうちに1~4に該当する者のあるもの   二 遵守基準の具体化 1 第一種動物取扱業者が遵守しなければならない基準は、動物の愛護及び適正な飼養の観点を踏まえつつ、動物の種類、習性、出生後経過した期間等を考慮して、次の事項について定めるものとすること。 (1) 飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに当該設備の管理に関する事項 (2) 動物の飼養又は保管に従事する従業者の員数に関する事項 (3) 動物の飼養又は保管をする環境の管理に関する事項 (4) 動物の疾病等に係る措置に関する事項 (5) 動物の展示又は輸送の方法に関する事項 (6) 動物を繁殖の用に供することができる回数、繁殖の用に供することができる動物の選定その他の動物の繁殖の方法に関する事項 (7) その他動物の愛護と適正な飼養に関し必要な事項 2 犬猫等販売業者に係る1の基準は、できる限り具体的なものでなければならないこと。   三 犬、猫等を販売する場合における対面による情報提供の充実 第一種動物取扱業者のうち犬、猫等の動物の販売を業として営む者が動物を販売する場合において動物の状態を直接見せ、対面による情報提供を行う義務について、当該行為を行う場所をその事業所に限定すること。   四 帳簿の備付け等に係る義務の対象の拡大 1 犬猫等販売業者に対する帳簿の備付け及び報告に係る義務について、動物販売業者一般のほか、貸出し、展示その他政令で定める取扱いを業として営む者も対象とすること。 2 犬又は猫の譲渡を行う第二種動物取扱業者について、個体に関する帳簿の備付け及び保存を義務付けること。   五 動物取扱責任者の要件の充実 1 動物取扱責任者は、動物の取扱いに関し、十分な技術的能力及び専門的な知識経験を有する者のうちから選任するものとすること。 2 都道府県知事が行う動物取扱責任者研修について、当該研修の全部又は一部を委託することができるものとすること。   六 勧告及び命令の制度の拡充 1 勧告に従わない動物取扱業者の公表制度の創設 勧告に従わない動物取扱業者について、その旨を公表することができる制度を設けること。 2 勧告及び命令の期限の明確化…

動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議 2019参議院

令和元年六月十一日 参議院環境委員会  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。 一、動物取扱業者による不適正な飼養・保管が後を絶たない現状に鑑み、地方自治体が、動物取扱業者に対する立入検査を積極的に行い、必要に応じ勧告、命令及び登録取消し等の行政処分並びに刑事告発も適切に行うよう、規制の実効性を担保するための必要な措置を講ずること。 二、動物取扱業者が遵守すべき具体的な基準の策定に当たっては、地方自治体の改善指導の根拠として実効性のある客観的な指標となるよう、十分な検討を経て、できる限り具体的な基準を設定すること。また、基準の遵守を徹底するため、動物取扱業者への周知や地方自治体職員に対する研修の実施等、施行に向けた体制整備の強化を図ること。なお、第一種動物取扱業の登録又は更新について、立入検査をもって基準の遵守状況の確認を行うことを検討すること。 三、第一種動物取扱業については、様々な業種について登録制の規制が適用されていることに鑑み、業種や事業規模に応じた規制の細分化について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。 四、家畜化されていない野生由来動物の飼養については、動物の本能、習性及び生理・生態に即した適正な飼養の確保が一般的に困難なことから、限定的であるべき旨について周知徹底を図るとともに、人獣共通感染症防止や動物の健康や安全の保持等の観点から、触れ合いを含む動物展示施設等の動物に係る飼養管理基準の在り方について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。 五、第二種動物取扱業者について、地方自治体の譲渡先として譲渡に関わる団体が動物を受け入れて不適正な飼養管理の状態となる事例も生じていることに鑑み、動物の譲渡に当たって譲渡先団体が受入れ可能か確認するなどの適切な指導が行われるよう、地方自治体に対し周知する等の措置を講ずること。 六、動物虐待等への対応に当たっては、動物虐待等の該当性の客観的な判断に資するよう、事例の集積及びそれらの分析・評価を進め、それによって得られた知見を活用した地方自治体職員等の人材育成を支援するとともに、関係機関及び民間の団体等との一層の連携強化を図ることを通じて、その対応を強化すること。また、動物の遺棄・虐待防止のために、動物虐待等の該当性などについて、普及啓発に努めること。 七、特定動物の飼養・保管の許可については、人体への危害の防止、住民不安の解消、災害時の対策等の観点から、娯楽、触れ合い等を目的とした飼養・保管を規制する措置も含めた規制の在り方を検討すること。また、飼養施設の強度を担保し逸走防止策を図るだけではなく、移動檻での常時飼育などの不適切な扱いを防止し、特定動物のアニマルウェルフェアについても指導、監視できるよう検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。 八、本改正による動物愛護管理に係る諸施策を着実に実施するため、動物愛護管理行政の実態に即した必要な体制及び職員数の充実に向けて、万全を期すよう努めること。 九、所有者不明の犬猫の引取り拒否の要件の設定に当たっては、狂犬病予防法との整合性、当該犬猫に飼い主がいる可能性及び地域猫活動等も考慮し、地域の実情に配慮した要件を設定すること。 十、地方自治体における動物収容施設については、収容動物に対する適切な飼養管理を図る観点から、その実態把握を踏まえ、適正な施設や管理の水準等に係る指針の策定を、第一種動物取扱業の基準に準じる形で検討すること。 十一、犬猫へのマイクロチップ装着の義務付けに当たっては、制度の実効性確保の観点から、犬猫の種類によって扱いに差異を設けることなく、一般飼養者等へのマイクロチップの装着や情報登録等の重要性等についての普及啓発を推進するとともに、各地方自治体や関係機関におけるマイクロチップリーダー等の配備を促進すること。また、マイクロチップ登録情報の一元管理化及び同情報の情報管理の徹底等について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。 十二、畜産農業に係る動物に関して、本法及び本法の規定により定められた産業動物の飼養及び保管に関する基準を周知し、遵守を徹底するよう必要な措置を講ずること。 十三、諸外国等におけるアニマルウェルフェア及び脊椎動物の心身の苦痛の感受性に関する調査研究並びに動物の取扱いに係る制度・運用の事例等について、我が国の動物の取扱いに係る制度の在り方の検討に資するよう、情報の収集・整理を精力的に進めること。また、国際的なアニマルウェルフェアの基本原則である五つの自由について十分に配慮して、動物愛護管理に係る諸施策を執り行うよう、飼養保管基準の遵守義務をはじめとした法制度の理解の浸透・周知徹底を図ること。   右決議する。

行動基準を用いた爬虫類の福祉評価法

爬虫類の展示販売場に行くと、スーパーのおかずのように簡易パック詰めされて陳列されているトカゲや蛇をみることがあります。また、体の大きさほどしかないケースのでオオトカゲを展示しているペットショップや、狭い水槽にカメを閉じ込め、日光浴に必要な陸も設置せず餌以外にほとんど世話をしないという飼い主もいます。 このような飼育を、英国の獣医学会誌(BVA)に掲載された次の論文「行動基準を用いた爬虫類の福祉評価法」はきっぱりと否定しています。 “爬虫類生物は狭い空間で『安全だと感じる』、生来『固着性があり』広い空間は必要ではないと一般的に誤解されている。このような考えは爬虫類を『檻の中で飼育可能なペット』として販売している業者にとっての都合の良い解釈であり、科学的根拠も倫理的正当性もない。” この論文は「爬虫類は監禁しても問題ない」とする風潮を真っ向から否定し、監禁など不適切な飼育が、爬虫類にストレスを与えどれだけその生涯を害するものなのかを明らかにしています。 行動基準を用いた爬虫類の福祉評価法 翻訳協力:Asako Kajiura In Practice 2013;35:123-131 doi:10.1136 Clinical practice 「Assessing reptile welfare using behavioural criteria」 Clifford Warwick, Phillip Arena, Samantha Lindley, Mike Jessop and Catrina Steedman 科学的な爬虫類臨床医療が多くの外科医やその他のグループからの注目を集めている一方、爬虫類の行動的・心理的健康に関してはこの限りではない。爬虫類の行動変化は他の動物同様、不安・怪我・病気等の指標であることが多々ある。行動のサインがストレスや身体的問題の指標であるのと同様に、身体のサインは行動の問題の指標になりうる。異常行動は怪我や病気の結果の可能性もある。 本論文では飼育状態におけるストレスや外傷・病気、それらの原因の兆候を含む爬虫類の異常行動を明らかにし、既存の生物学的・飼育管理的問題に関する研究内容を概観することを目的としている。行動問題に関する簡明な診断ガイダンスも提示した。本研究は動物と飼育方法を評価する時の参考になるだろう。 生物学的・行動学的考慮点 犬や猫のように飼い慣らされている動物と全ての爬虫類を含む飼い慣らされていないペットでは大きな違いがある。生物学的に見ると犬や猫そして家畜である牛、馬といった動物は遺伝子的に『前適応的』及び『ソフトワイヤード』特性を持つ。この特性がこれらの動物の他生物との共存や人の支配下での生存を可能にしている。それに対し爬虫類は前適応的特性をほとんど持たず、彼らは自然環境のもとで生存するのに有利な生態的・行動的・精神的特質を『ハードワイヤード(*応用が利かない)』に生得している。 拘束環境にある爬虫類の生物学的適応性に大きな悪影響を及ぼす要因として挙げられるのは、犬や猫と異なり爬虫類の拘束環境はほぼ例外無く適切に管理されていない小さな飼育施設であり、彼らはそこで一生を過ごすこととなる。このような生物学的考慮や管理環境が欠如している状態は、診察を行う獣医が的確な診断をおこなう妨げとなる。 行動理解を通した判断 一般的な認識とは異なり爬虫類はストレスを示す多くの異常行動を明確に表す。爬虫類を含む動物の行動理解は彼らの状態や健康を判断する上で必要不可欠である。もちろん、精神的ストレスは血液検査や侵襲性の低い便検査を用いて診断することもできるが、これらの診断方法には純粋な基準データの不足や焦点となる判断の限界といった様々な混乱要因が含まれる。例えば、人間を対象とした研究によると、興奮に関係する刺激等の要因がコルチゾールを介している場合、認識しているストレス、疲労、うつ等はコルチゾールを増加させない可能性がある(1996年 van Eck他)。…

世界で唯一 動物実験が全て禁止されている国 サンマリノ

2007年2月最も高貴なる共和国サンマリノで、動物実験が法的に全て禁止された。 サンマリノとは、イタリア半島の東部にある小さな共和国で、現存する最古の共和国で、人口も3万人というミニ国家だ。(wikiより) しかし、完全な独立国家であり、歴史も長い。 この記念すべき法律「サンマリノ共和国の動物実験の禁止に関する規定」は、2007年9月20日に立法機関により承認され、10月3日に交付された。 Associazione Sammarinese Protezione Animaliにより市民運動が繰り広げられ、署名を集め、立法化されたという。 Legge 3 ottobre 2007 n° 108 REPUBBLICA DI SAN MARINO Noi Capitani Reggenti la Serenissima Repubblica di San Marino Visto l’articolo 4 della Legge Costituzionale n.185/2005 e l’articolo 6 della Legge Qualificata…

イギリス 畜産動物規則

※英国は2018年に再び動物保護法を改正しています。   The Welfare of Farmed Animals (England) Regulations 2007  (改正分) The Welfare of Farmed Animals (England) (Amendment) Regulations 2010 改正分の一覧表 5A 従来型肉用鶏の飼育に適用される追加条件(仮訳) 75ページ~ ​​​​​​​ (海外ブロイラー生産におけるアニマルウェルフェア報告書-タイ、イギリス- 2013 年 3 月 14 日 東北大学大学院農学研究科家畜福祉学寄附講座 佐藤衆介)

EU 指令 肉生産のために飼育される鶏の保護に関する最低規則

EU 指令(COUNCIL DIRECTIVE 2007/43/EC) 遵守状況がレポートされている。 2018年4月 2017年4月 EUは肉用鶏の福祉指標の開発(農場~屠殺まで)を行った 2016年4月 EUは鶏の品種改変の遺伝的影響を調査   肉生産のために飼育される鶏の保護に関する最低規則 60ページ~ ​​​​​​​ (海外ブロイラー生産におけるアニマルウェルフェア報告書-タイ、イギリス- 2013 年 3 月 14 日 東北大学大学院農学研究科家畜福祉学寄附講座 佐藤衆介)

台湾 家禽と家畜を人道的に屠殺する準則(2008年9月25日公布)

台湾では、動物保護法第13条に基づき「家禽と家畜を人道的に屠殺する準則」が制定されています。 この準則に違反すれば、台湾動物保護法第13条には、「国の主管機関は実際状況に即して人道的に動物を屠殺する準則を制定しなければならない。」とあり、これの準則に従わずに動物を屠殺した場合は動物保護法第30条に基づき処罰されます。 日本には、このような、屠殺場において動物福祉を担保できるような法的枠組はありません。法的な枠組みがないことが、屠殺場で非人道的な行為が起こってしまっていることの要因といえます。 台湾「家禽と家畜を人道的に屠殺する準則」 *『畜禽人道屠宰準則』( 民國 97 年 09 月 25 日 發布 ) 第1条 当準則は動物保護法(以下「当法」と略称する)第十三条に照らして定める。 第2条 当法は屠殺場における行う家禽と家畜屠殺作業に当てはまる。家禽と家畜を車から降ろし、追い立て、保定、気絶と瀉血が含まれる。 第3条 当法の用語は次の通りである。 (1)家禽と家畜:牧畜法第二十九条第一項に定められる屠殺場で屠殺のおこなわれる家畜または家禽を指す。 (2)降ろし:交通工具あるいは容器から家禽と家畜を降ろすことを指す。 (3)繋留:指定区域に家禽と家畜の置くことを指す。 (4)保定:家禽と家畜を動かさないように抑えると固定することを指す。 (5)気絶:機械、電気、化学、もしくは他の方法で家禽と家畜に意識を失わせることを指す。 (6)瀉血:刃物あるいは器具で家禽と家畜の心臓を刺し抜く、または主な血管を断り切って、血液を外部に排出させることを指す。 第4条 車から家禽と家畜を降ろすにあたって、または屠殺場で移動させる際には、暴力、刃物あるいは不当な電撃行為で強制追い立てをしてはいけない。追い立てるために、一部の家禽と家畜に電撃をしなければならない場合、その電圧を50ボルト以下に確保するとともに、連続して電撃の行うことを避ける。 体が不自由で意識がある家禽と家畜を引きずってはいけない。移さなければならない場合、補助的な施設を使って家禽と家畜を移す。 第5条 家禽と家畜を繋留する場所は、清潔な飲用水を提供するとともに、傷つける恐れのある刃物、あるいは尖ったもので家禽と家畜にマークをつけてはいけない。 第6条 家禽と家畜屠殺場での作業は屠殺場設定標準と屠殺作業準則に従うとともに、人道的で効果がある気絶と十分な瀉血を通して行わなければならない。 電撃器物、打擊器物、気体気絶設備または他の人道的気絶作業標準に適う設備は良好な状態にメンテナスをしなければならない。 第7条 家禽と家畜の屠殺は人道的気絶作業をするために、家禽と家畜の種類と気絶方法に則って適切な保定を与えなければならない。 第8条 家禽と家畜の人道的に気絶する方法、動物種、注意事項は下記のとおりです。 (1)電撃気絶:豚、羊を適用し、品目によって、電流と電圧を適切に調節する。 (2)打撃気絶:豚、牛または家禽を適用する。家禽を適切に保定させるとともに品目によって、適切な工具と打撃部位を選ぶ。但し、棍棒など原始時代の工具でその動物を打擊してはいけない。…

台湾動物保護法 全文翻訳(2017年4月26日改正)

始めに、日本の動物愛護管理法(2017年時点)と比較して、台湾の動物保護法が優れていると感じた点を述べる。 台湾では動物の定義が「犬、猫または他の人間が飼育あるいは保有する脊椎動物を指す。この中には商業動物、実験動物、伴侶動物及びその他の動物が含まれる。」とされており、罰則対象は飼育下の脊椎動物とされており、魚類・両生類が含まれている。いっぽう日本の法律は罰則対象となるのは「愛護動物」とされており、「愛護動物」の定義は”牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの”、とされており、魚類・両生類が省かれている。 台湾では「毎四半期にこの法律の成果を検査して検討する。」となっているが、日本では5年をめどとして動物愛護管理法の施工状況を検討するとなっている。 台湾では「動物を飼う人は20歳以上でなければならない」とされている。日本にはそういった規定がない。 台湾動物保護法第5条に、動物を飼育するものが守るべき事項として ・ケージ(籠)で動物を飼っている方は、その籠の内部空間が動物自身が十分にストレッチできることを保証するとともに、籠の外で十分な活動時間があることを保証する。 ・紐と鎖で動物を繋げる場合は、その紐と鎖の長さが動物自身より長くて、動物が十分にストレッチできるように確保するとともに、安全で快適、適当な締まり具合がある首輪を使い、十分なアウトドア活動の適時に供給されることを確保する。 などと書かれており、この項に反すると罰則もある。また所轄の改善指導に従わなかった場合は飼育している動物を没収することができる。 いっぽう日本には動物の飼育スペース、自由度についての決まりはなく、それについての即罰規定もない。行政は「動物を没収する」という権限も与えられていない。 台湾動物保護法第9条では輸送について定められている、特に豚・牛・羊を輸送する従業員は訓練コースを卒業し、在職中の訓練も求められている。さらに「動物輸送管理方法」に従う必要がある。これに従わない場合は罰則が定められている。 日本の動物愛護管理法には輸送に関する条項はなく、畜産動物に特化した規定もまた無い。 台湾動物保護法第10条では次のことが禁止されている。 ・直接、間接を問わず、賭博、娯楽、事業、宣伝、その他の非合法目的のために、動物同士、あるいは動物と人間とが闘うこと。 ・直接、間接を問わず、賭博のために動物をレースやコンテストに使用すること。 ・動物を運送、競売、拘束する際に、暴力ふるったり不当な電撃で追い立てたりすること。または、刃物など傷害性がある方法で動物にマークを付けること。 ・屠殺場で、商業動物が人道手段を通さずに、気絶、水を加える、強制的に食べさせる、縛る、切断、投げる、瀉血をすること。 これに違反すると罰則があるだけではなく主管機関は、改善命令ができる。そして指定期間内に改善が行われなかった場合は動物を没収することができる。 一方日本では娯楽目的に動物同士を争わせる闘犬・闘牛・闘鶏が継続されており違法ではない(ただし、いくつかの自治体では条例でこれを禁止してる)。また畜産動物の追い込み方法、人道的屠殺法についての規定はなく、罰則や改善命令などの定めもない。 台湾動物保護法第13条には、「国の主管機関は実際状況に即して人道的に動物を屠殺する準則を制定しなければならない。」とあり、これの準則に従わずに動物を屠殺した場合は罰則がある。 一方日本には畜産動物に特化した条項はない。 台湾動物保護法第14条には、犬猫について、「直轄市、県(市)の主管機関は規定を制定し、私立の機関・団体の動物シェルター設立に際して、それを奨励するための手段を講じ、また、援助を与える。」とある。 日本の動物愛護管理法には民間の動物保護団体を支援するような条項はない。 台湾動物保護法では、動物実験については15~18条までの条文がある。 ・基本的な3Rの遵守 ・実験終了後は動物の状態を直ちに診断すること ・回復の見込めない動物を安楽殺すること ・高校以下の学校は主管機関からの許可がない限り、動物に傷をつけたり死なせるなどの実験の授業を行ってはいけないこと などが定められている。違反した場合は改善指導が出され、それに従わない場合は罰則が定められている。また実験動物倫理委員会の設置義務に違反した場合は、即罰規定となっている。 一方日本には3Rと回復の見込めない動物の安楽殺についての決まりはあるが、罰則規定はない。実験終了後の速やかな動物の診断、学校における動物実験についての規制や動物倫理委員会の設置義務はさだめられていない 台湾動物保護法には、行政監督として第23条に次のように記載されている。 「直轄市、県(市)の主管機関は動物保護監視官を置くとともにボランティアを選んで補佐として動物の保護検査作業を補佐する。動物保護監視官は動物コンテストの会場、屠殺、繁殖、売買、一時預かり、展示及び他の営業場所、訓練、動物の科学的使用を行う場所に出入りし、調査を行い、この法律に違反があった場合には、それを止めさせることができる。 前項の調査、及び違反行為の禁止を、回避、妨害または拒否することはできない。」 日本の動物愛護管理法でも、行政は動物愛護担当職員を置くことができるものとし、地域のものから、動物愛護推進員を委嘱することができるとしている。また動物の飼養者に報告を求めたり立ち入り検査をする権限も与えられているが、屠殺場や動物実験施設への立ち入りはできない(ただし特定動物は別)。 台湾動物保護法原文 法規名稱:    動物保護法 ( 民國 106 年…

タイ 家禽保護の規則

タイでは、1991 年にペット、展示動物、実験動物、産業動物に関わる Animal Welfareの包括法が成立した。その下で、家禽保護の規則(regulation)が 1999 年に作成され、2011年に改正された。別表1、2、3に、畜産局規定(DLD regulation)の「飼養施設における家禽の保護及び安全管理に関する DLD 規定」、「輸送時における家禽の保護及び安全管理に関する DLD 規定」、「殺処分並びにと畜時の家禽の保護に関する DLD 規定」の全翻文を提示した。 (海外ブロイラー生産におけるアニマルウェルフェア報告書-タイ、イギリス- 2013 年 3 月 14 日 東北大学大学院農学研究科家畜福祉学寄附講座 佐藤衆介)別表1、2、3 18ページ~

中国の畜産動物に関する法規制・ガイドライン

WAP(世界動物保護協会)による世界50か国の動物保護評価(2014年)を参考に、中国に存在する畜産動物の福祉に関する法令やガイドラインの一部(動物の扱いに関わる部分)を翻訳しました。 国家レベルの畜産法では、家畜に適切な飼育環境を与えること、輸送は家畜の安全を守り、必要な空間、食べ物、水を与えなければならないことが定められています。 また世界最大の養豚国のためだと思いますが、豚については別途国家レベルの豚屠殺管理条例・豚屠殺実施方法管理条例が制定されています。 豚屠殺管理条例では屠殺の条件及び作業手順と技術に言及し、豚に水を注入すること(屠殺の前に体重を増加させる処置)を禁止しています。また豚屠殺実施方法管理条例では、「国家は豚屠殺場側が規程により人道的な屠殺を行うことを奨励する」と定められています。 中国の畜産動物福祉の法的枠組みはまだまだ不十分で、ほんのわずかです。しかし日本はそのほんのわずかよりもさらに少ないと言えるかもしれません。日本の畜産動物の法的枠組みといえば「動物の愛護及び管理に関する法律」が唯一のものですが、この法律には畜産動物に特化した条項はありません。実験動物については一条のみで、基本的に犬猫といったペット中心のものになっています。 WAP(世界動物保護協会)は日本の畜産動物保護の評価をD、中国をCとしています。人道的屠殺プログラムの導入に積極的な中国の今の動きを見ていると、今後日本はさらに中国に後れを取ってしまうかもしれません。 法的な拘束力はありませんが、中国の豚を人道的に屠殺する技術規範というガイドラインも翻訳しています。内容を読むと、OIEよりも動物福祉に配慮した記述が見られます。 畜産法 (2006年7月1日施行 国家レベルで制定されたもの) 第41条 家畜養殖場は飼育書類を樹立し、下記した内容を明記すべき: (一)家畜の品種、数、繁殖記録、標識情報、出所と出入荷日付。 (二)餌、餌添加物、動物治療薬など投入物の出所、名前、使用対象、時間と用量。 (三)検疫、免疫、消毒の情報。 (四)家畜発病、死亡、無害化処分の情報。 (五)政府家畜獣医主管部門により規定した他の内容。 第42条 家畜に適切な繁殖、生存、成長条件と環境を提供すべき。 第43条 畜産飼育に関する仕事を従事する中で、下記の行為をしてはいけない。 (一)法律及び関連する規約と国家技術規範の強制性要求に従わず、餌、餌添加物、動物治療薬を使うこと。 (二)食堂から捨てた高温殺菌処理をしない汚れた水で家畜を飼うこと。 (三)ゴミの収集場、またはゴミ収集場のようなところで家畜を飼うこと。 (四)法律及び関連する規約により規定した人類と家畜の健康に危害を与える行為。 第53条 動物の輸送は関連する法律と規則に従って行わなければならないし、家畜の安全を守り、必要な空間、食べ物、水を与えなければならない。関連部署は法と規程に基づいて輸送中の家畜の検査を行うべき。 【原文】 中华人民共和国畜牧法(2005年12月29日) 【アニマルライツセンター補足】 第41条「家畜養殖場は飼育書類を樹立」に違反した場合、是正措置がとられます。 豚屠殺管理条例 (2008年8月1日施行 国家レベルで制定されたもの) 第8条 豚屠殺場は下記の条件を付けなければならない: (一)屠殺場規模に相当し、水質は関連する規程の基準に従う水源条件がある。 (二)関連する国家規程に従う屠殺を待ち合わせ室、屠殺室、急屠殺室とともに豚屠殺施設と運送手段がある。 (三)法に基づいて健康証明を持つ技術者がいる。 (四)肉製品の品質検査従業員がいる。 (五)国家規定要求事項に従う検査装備、消毒施設とともに環境保護要求事項に従う汚染の予防と改善施設がある。 (六)体障害豚と豚製品を無害化に処分する施設。 (七)法に基づいて動物防疫条件合格証明書を取る。 第11条 豚屠殺場は豚の屠殺を行う時、関連する国家規定した操作規程と技術要項に従わなければならない。 第15条 豚屠殺場は他のいかなる会社と個人と同じく、豚または豚製品に水や他のものを加えてはいけない。…

韓国の動物保護法

韓国の動物保護法を翻訳しました。英語の原文はこちらからご覧になれます。 内容 韓国の動物保護法では、アニマルウェルフェアの「5つの自由」に準じた内容が基本原則として明記されています。 また、地方自治体は5年毎に、その地方自治体に適応される「動物の保護と適切な管理のためのアニマルウェルフェア計画」を提出しなければならないとされています。 日本の農林水産省にあたる韓国の農林畜産食品部内にはアニマルウェルフェア委員会が設置されることになっており、このアニマルウェルフェア委員会は「動物の保護と適切な管理のためのアニマルウェルフェアの計画」の策定と実施や、動物実験倫理委員会の組織の指導と監督、アニマルウェルフェアに配慮された畜産場の認定等に関して農林畜産食品部長官に助言を行います。 韓国の動物保護法には具体的に動物をどのように扱うべきであるのかということも明記されています。例えば、屠殺の痛みは最小限にすること、屠殺の際は意識がなくなってから次のステップに進むこと、断尾・除角・去勢をする場合には獣医学的方法をとるということ、動物の輸送の際に気を付けるべきことも法律で明記されています。 また、アニマルウェルフェアに配慮した畜産場の認定についても法律で定められています。 事実を偽るなど不適切な手段でアニマルウェルフェアに配慮された畜産場認定を獲得したり、認定されていないにもかかわらずアニマルウェルフェアに配慮された畜産場を名乗った場合は、2年以下の懲役または2000万ウォン以下の罰金に処されます。(第30条1、2に違反) 日本では実験施設の登録・査察すら義務付けられていない動物実験についても、韓国の動物保護法ではさらに進んで、動物実験を審議したり、実験動物の保護を求める動物実験倫理委員会の設置を義務付けており、その組織構成についても定めています。 第24条では捨てられた動物や、障がい者のためのガイド犬のような動物を動物実験に使ってはいけないということも明記されており、これに違反した場合300万ウォン以下の罰金に処されます。 日本の動物愛護法には畜産動物に関しての条項は1つもありませんし、アニマルウェルフェア(動物の福祉)という言葉も条文に入っていません。しかし韓国の動物愛護法はアニマルウェルフェアに配慮された畜産業や、苦痛の少ない屠殺、輸送方法にまで言及しています。また、日本のような畜産動物や実験動物についての除外規定もありません。法律で動物の福祉を担保するという点で、日本は中国だけでなく、韓国にも大きく引き離されていると言えます。今回の動物愛護法改正で犬・猫だけでなく全ての動物を守れるような法律に改正できなければ、その差はどんどん広がってしまうでしょう。 韓国動物保護法 第1章 総則 第1条(目的) この法律の目的は、動物の虐待を防止し、適切に動物を保護し管理するために必要な事項を規定し、動物の生命や安全、福祉そして動物の命を尊ぶ国民の精神性を向上させることにある。 第2条(定義) この法律に使用される用語は、以下のように定義される。(法律第12051号 2013年8月13日 改正、法律第14651号 2017年3月21日 改正) 1.「動物」という用語は、疼痛を感じる発達した神経系をもつ脊椎動物である以下の動物のいずれかを意味する (a)哺乳類 (b)鳥類 (c)爬虫類、両生類及び魚の中で、関係中央行政機関長・農林畜産食品部長官が協議した後に大統領政令で定める動物 1-2 「動物虐待」という用語は、正当な理由なしに動物に不必要かつ回避可能な身体的苦痛またはストレスを与える行為、または飢えや病気などに対して適切な措置を怠る行為を意味する。 2「登録対象動物」という用語は、保護、失踪や飼育放棄の予防、疾病管理、公衆衛生上のリスクを予防するために登録される必要があると認められる場合、大統領政令で定める動物を意味する。 3「動物の所有者又は保管者」という用語は、動物の所有者又は、一時的又は永久に当該動物の飼い主に代わって動物を飼育、世話又は保護することに従事する者を意味する。 4「動物実験」という用語は、実験動物法第2条(1)に定義されているあらゆる動物実験を意味する。 5「動物実験機関」という用語は、動物実験を行う資格を有する大統領令で定める法人、団体又は機関をいう。 第3条(動物保護のための基本原則) 動物を育てたり、世話したり、保護するために、以下の原則を遵守すべきである。(法律第14651号 2017年3月21日 改正) 1 動物は自然な行動と元の物理的な形を保ちながら、通常の生活を営む。 2 動物は、渇き、飢餓、栄養失調に悩まされてはならない。 3…

飼育下の展示用の猛禽類の基準 オーストラリア ニューサウスウェールズ州

展示動物保護条例 1.1総則 1.1.1  檻のつくり a)檻は十分に管理され動物やスタッフや市民のために常に動物を檻に入れておく b)檻は屋根で覆われ防水の壁で囲まれ雨風、強烈な温度や太陽から守り寝ぐらに安全を提供する c)猛禽類の檻は水の噴射もしくは雨にアクセスできる d)檻は水はけが良く清潔さを保てる基板もしくそれに代わる糞尿、カビや菌から守る基材が取り付けられている e)檻の囲いのメッシュ部分は曲げることのできるナイロンでありワイヤーメッシュの場合は柔軟性があり動物の衝突時に衝撃がないようにする。ワイヤーの屋根は水平に近い状態が好ましい。 f)檻の大きさと作りは左右上下に自由に動け1.1.5の記述にある最低基準より下ではならない g)檻の入り口は二重であること。ドアは自動開閉され出た後は鍵をかけられる   1.1.2 取り扱い設備 病気の動物には弱光にし孤立させ温かくする   1.1.3 種内の交流(攻撃性の低下) a)似た大きさの猛禽類は種内での攻撃性がなければ檻の中での狩りの場は同じにする b)猛禽類が他の猛禽類の存在や攻撃性からのストレスで危険な状態を示す場合は他の猛禽類と離す   1.1.4 檻の中の装備品 a)檻の中の止まり木やレッジ(壁からの水平の出っ張り)の総数は鳥数を上回る b)隣同士での檻は止まり木やレッジを他の猛禽類からの視野に入らないようお互いが届かない距離に屋根で覆われた檻内に設置される c)止まり木やレッジは最大限に飛行できる場所に取り付けること。少なくとも地面から2m以下にはならない d)高い位置の取り合いを避けるため高い位置に沢山の止まり木を設置 e) a)の要件に加えて正常な飛行が不可能な猛禽類のために(切り倒した)切り株や大き目の粗い枝を置き猛禽類が基板から止まり木に登れるようにする f)取り付けられた装備品や壁に羽が接触することなく快適に止まれるよう止まり木、レッジ、切り株を置く g)止まり木は清潔で天然の枝であり枝の直径や断面積は異なりツメの長さの円周以下にならぬようにする h)夜行性で穴を寝ぐらとするフクロウにはそれぞれに光から身を避けられる暗い隅の安全な場を与える。空洞のある丸太が相応しい。 i)檻に雄、雌がいる場合、お互いが視覚に入らず雄、雌がそれぞれ孤立できるようバリアをする j)止まり木は鳥が弧状を描き翼を広げ飛び、着地する時でも屋根に当たらないよう十分離す k)交配用の檻の止まり木の位置は交尾時に必要となる上方スペースを十分に取るようにする l)水浴びのための深さ5センチ以上15センチ以下、十分な大きさ(自然な態勢で水浴びが可能な直径サイズ)の(人口)池や容器を設置する m)(人口)池/容器は清潔であり滑ったり鋭い危険な刃(角)がないようにする n)(人口)池/容器は清潔な淡水で深さは一番小さな鳥の脚の長さと同等な15センチ以下であること   1.1.5…

中国の動物実験に関する法令

中国では実験動物に関する、下記の法令が存在する。 (全国) 《实验动物管理条例》 (自治体ごと) 《广东省实验动物管理条例》 《黑龙江省实验动物管理条例》 《重庆市实验动物管理办法》 《辽宁省实验动物管理办法》 《甘肃省实验动物管理办法》 《湖北省实验动物管理条例》 《北京市实验动物管理条例》 《云南省实验动物管理条例》 《江苏省实验动物管理条例》 《浙江省实验动物管理条例》 《福建省实验动物管理条例》 《安徽省实验动物管理条例》 《上海市实验动物管理条例》 《山西省实验动物管理条例(试行)》 《天津市实验动物管理条例》 《河北省实验动物管理办法修正案》 《吉林省实验动物管理办法》 《山东省实验动物管理办法》 《广西壮族自治区实验动物许可管理实施细则(试行)》 《四川省实验动物许可证管理实施细则(试行)》 《贵州省实验动物管理实施细则》 《陕西省实验动物管理办法》 国家レベルの「実験動物管理条例」(全国)は1988年に発令された。 具体的には、実験動物を愛護し、虐待を禁止されることが定められている。それ以外に、餌と飲用水の品質を保障することも要求されている。 省レベルの条例のほとんどは、2000年から2010年にリリースされ、国家レベルより詳しい。 例えば、広東省の条例は「実験動物の命の価値及び権利福祉を尊重すべき」「実験の目的、公衆の利益、実験動物の命の価値という三方のバランスを慎重にとるべき」などと書かれている。また、虐待禁止だけではなく、もっと具体的に「必要なく傷つけられること、飢餓、不安、病、痛みを避けるべき」「手術する時に、有効な麻酔をかけるべき。殺す場合は、安楽死を行うべき 」とも書かれている。 ただ、そこまで詳しく書いているのは広東省のみ。他の省は非常に基本的かつ手続き的なことしか書いていない*1。 詳しく見ていくと、一部義務化されているものもあるが、状況は日本とあまり変わらず実験される動物にとって厳しいものとなっている。日本は自主規制のみで法的な枠組みはゼロ。兵庫県のみ届け出制をとっているが、それ以外の都道府県ではどこに実験施設があるのか把握されていない。実験施設の査察を行っているのは静岡県だけだ。 WAP(世界動物保護協会)による「実験される動物の保護」評価は、中国、日本ともにC(A~Gの7段階評価)で、ヨーロッパよりも低いものになっている。 中国の状況は次のとおりだ。 動物実験者の免許や資格などの制度 国家レベルでは、資格制を徐々に設立することを目指すと示しているが、義務ではない。一部の省では、動物実験者の資格証書が要求されている。 動物実験施設・実験動物飼育施設の登録や届出などの制度 施設の衛生的な条件に対する要求はあるが、登録や届出はなし。 動物実験計画の許可や認可などの制度…