論文概要
畜産動物の福祉に対する社会的関心は高まっており、アニマルウェルフェアは製品の品質に付帯する倫理的属性と見なすことができる。本稿では選択実験を用いて、豚肉製品のアニマルウェルフェア属性に対する中国の消費者の支払い意思*を測定した。
参加者は、アニマルウェルフェア・肉のブランド・屠殺における人道的取り扱い・環境への配慮といった、より望ましい属性を持つ豚肉製品に対して、500g あたりで13.923~18.493人民元のプレミアムを支払うことを望んでいた。公共政策における倫理道徳と農業におけるアニマルウェルフェアの間には相互に補完しあう関係があると言える。本研究の結果は、動物に配慮した製品に対して新興国の消費者が示す選好についての知見を拡げるものである。
中国のアニマルウェルフェアを推進するためには、関連領域における幅広い実践的な取り組みが求められており、具体的には環境倫理学とアニマルウェルフェアに関する教育の強化、アニマルウェルフェアを保障するための世界標準に沿った仕組みの確立、バリューチェーンにおいて動物に配慮した製品に関する契約手続きの最適化などが挙げられる。
* 商品やサービスに対して消費者が最大限支払っても良いと思う金額、顧客がいくらまでなら払ってもよいと思っているか、支払いたいと思う最大の金額
Yaoming Liang, Yanjie Xu, Debao Lai, Gengrong Hua, Donglin Huang, Hao Wang, Hui Li, Li Han
2022/09/30
Emerging market for pork with animal welfare attribute in China: An ethical perspective