寄付論文概要
多くの食事ガイドラインでは植物性タンパク質食品の摂取が強く推奨されているが、動物性タンパク質を植物性タンパク質に置き換えた場合に、食生活と関係する持続可能性の諸側面にどのような影響があるかは不明である。
本研究では、カナダの一般的な食生活において赤肉や加工肉、乳製品の一部を植物性タンパク質食品に置き換えた場合に栄養・健康・気候に与える影響を調べるため、全国栄養調査のデータ、温室効果ガス排出量に関するdataFIELDのデータ、疾病負荷研究 Global Burden of Disease Study 2017 による相対リスクを組み合わせて検証した。
こうした置き換えを行った場合、社会において栄養不足が懸念される人口の割合にわずかな変化が見られ、特に乳製品を置き換えることによってカルシウム不足が最大で14％増加した。赤肉や加工肉、乳製品を置き換えると、平均余命はそれぞれ最大8.7カ月、7.6カ月延びた。食生活に関連した温室効果ガスの排出量は、赤肉・加工肉の置換によって最大25％、乳製品の置換で最大5％まで減少した。
赤肉・加工肉の一部を植物性タンパク質食品で置き換えることで、栄養・健康・気候の面で相乗効果があり、このことは消費者の食習慣を再構築し、人類と地球の健康に取り組むうえで重要である。
Olivia Auclair, Patricia Eustachio Colombo, James Milner & Sergio A. Burgos
2024/02/16
Partial substitutions of animal with plant protein foods in Canadian diets have synergies and trade-offs among nutrition, health and climate outcomes
