論文概要
プラントベース食は、食事パターンが環境に与える影響に対応し、食事に関連する疾病の発生率を低減できる食品ベースの戦略とされている。本研究では自己申告によるオンライン横断調査を実施し、プラントベース代替食品とホールフードの植物性タンパク質食品(豆類)の消費者の購買行動について検討した。購買行動と関連する社会人口的要因を特定し、タンパク質およびプラントベース食に関する知識について検証した。
イングランド・スコットランド国内の社会的貧困のレベルが異なる地域から参加者を募集し(地域の分類は郵便番号に基づく)、18歳以上の成人1177名(平均年齢(標準偏差):44 (16.4) 歳)から研究参加への同意を得た。記述統計に加え、2項ロジスティック回帰分析の共変量調整モデルを用いて社会人口学的要因を検証した。
全消費者の47.4%(561名)がプラントベース代替食品を購入しており、88.2%(1038名)がホールフードの植物性タンパク質を購入していた。プラントベース代替食品のうち、最も頻繁に購入されていたのは、プラントベースのハンバーガー、ソーセージ、ミンチ/ミートボールであった。貧困率が低い地域の参加者では、高い地域の参加者に比べて、ホールフードの植物性タンパク質を購入する傾向が有意に高かったほか(オッズ比(OR)3.46、p = 0.001)、レンズ豆が良質なタンパク源であることを認識し(OR 1.94、p = 0.003)、プラントベース食が健康に良いと考える傾向が強かった(OR 1.79、p = 0.004)。
これらの結果は、現在の傾向としてプラントベース代替食品の人気が高まっていることを裏付けるものであり、環境にとっては望ましいといえる。しかしその一方でこれらが超加工食品であるとすれば、健康に悪影響を及ぼす可能性もある。本研究からはまた、社会的貧困、ホールフードの植物性タンパク質の購入が少ないこと、プラントベースのタンパク質および食事についての知識の間には関連があることが改めて明らかとなった。今後の研究では、プラントベース代替食品の健康性、特に貧困をはじめとする社会人口学的要因が食品の選択とホールフード植物性タンパク質の消費に与える影響について検討する必要がある。
Magdalena M E Brandner, Claire L Fyfe , Graham W Horgan, Alexandra M Johnstone
2022/11/07
Self-Reported Purchasing Behaviour, Sociodemographic Predictors of Plant-Based Protein Purchasing and Knowledge about Protein in Scotland and England