論文概要
本研究では、テキサス州の一般市民を対象として、酪農で子牛の角を取り除く際に広く用いられている方法(苛性カリおよび赤熱したコテ)に関する認識を調査した。動物を人道的に扱うことに対する消費者の関心は高まっており、これらの方法に対する人々の考え方を調べることで、畜産慣行におけるアニマルウェルフェアについて社会が何を求めているかを明らかにすることができる。
研究では、テキサス州の住民を対象としてCentimentリサーチプラットフォームを通じたオンライン調査を実施し、食習慣に関する嗜好、人口統計学的要因、科学的情報が人々の認識に与える影響を検証した。参加者511人から得られた回答を分析した結果、苛性カリのほうが良いとする傾向が強く見られ、これは特に女性や教育水準の高い参加者において顕著だった。一方、男性では熱したコテのほうがより支持されていた。
こうした傾向には魚介類やチーズの消費量などの食習慣も影響しており、これらの食品の消費量が多いほど苛性カリが支持される傾向があった。除角処置の様子を画像として参加者に提示すると、牛肉を購入する意欲や、牛肉を食べたり使ったりする意欲は低下し、赤熱したコテの画像はさらにネガティブな反応を引き起こした。
以上の調査結果から、アニマルウェルフェアをめぐる社会の認識には、一般消費者の知識や認識が大きく影響していると考えられ、畜産慣行を消費者の考え方に沿って人道的なものとするためには情報提供がきわめて重要となる。これらの知見は酪農業界にとって重要な意義があり、どのような慣行が社会の期待に沿うのかを明らかにするとともに、アニマルウェルフェアを考慮した除角法の推進を支援するものである。
Andrea D Calix, Pablo Lamino, Howard Rodríguez-Mori, Arlene Garcia, Elpida Artemiou
2025/02/14
Public Perceptions of Calf Disbudding Techniques Used on Texas Farms