論文概要
- エコ不安症*1、食肉の削減、オーガニック食品消費、EAT-Lancetダイエット、環境意識、再生利用の平均スコアは、女性参加者の方が高かった
- 環境についての意識のスコアは、エコ不安症のスコアと相関していた
- エコ不安症の行動症状のスコアが低い場合、持続可能で健康的な食行動のスコアは高くなっていた
- 食事パターンとエコ不安症、持続可能で健康的な食行動との間に有意な関連は認められなかった
環境にとって良い行動、持続可能で健康的な食行動や食事パターンが、エコ不安症にどのように影響しているのか(あるいはその逆についも)あまり研究されていない。本研究の目的は、大学生におけるエコ不安症や持続可能で健康的な食行動を予測できる要因を特定することである。
研究は605人の大学生を対象として実施され、各参加者はアンケート調査票(エコ不安症、持続可能で健康的な食行動、オーガニック食品の消費、持続可能な消費行動に関する)に記入した。また、参加者についてのEAT- Lancetダイエット・スコア*2を算出した。これらのスコアの間の相関係数を示すためにピアソン相関分析を用い、気候不安と持続可能で健康的な食行動の予測因子を決定するために重回帰分析を行った。
参加者の平均スコアを調べると、エコ不安症・食肉の削減・オーガニック食品消費・EAT- Lancetダイエット・環境に関する意識・再生利用に関する項目において、女性参加者のスコアがより高かった。エコ不安症では、環境に配慮した行動のいくつかと関連が見られた。エコ不安の症状スコアが低いこと、オーガニック食品の消費量が多いこと、環境に対する意識が高いことは、いずれも持続可能で健康的な食行動の実践と関連していた。
これらの知見から、エコ不安症は、環境についての意識向上など環境に配慮した行動の動機になっていると考えられるが、エコ不安症に関連する行動症状によって持続可能で健康的な食行動に悪影響を及ぼす可能性もある。より持続可能な食事パターンを選ぶために、政府は食生活の選択が環境に与える影響について周知する必要がある。
*1地球の環境や将来に対する不安や恐怖、心理的ストレスを感じる状態 *2 プラネタリーヘルスダイエットとも呼ばれ、果物や野菜など加工度の低い植物性食品の摂取を重視し、魚や肉、乳製品の摂取は控えめにする食事法。スコアでは、14項目の食品成分について摂取レベルの基準に食事内容が準拠しているかを測定する。
Arzu Kabasakal-Cetin
2023/08/20
Association between eco-anxiety, sustainable eating and consumption behaviors and the EAT-Lancet diet score among university students