論文概要
現在、乳牛酪農のために商業ベースで導入可能な自動化技術は増えつつあり、これには例えば搾乳・給餌・糞尿除去・敷料の自動化などが含まれる。こうした技術がアニマルウェルフェアの諸側面に及ぼす個別の影響に関してはある程度まで調査されているが、これらの技術を組み合わせて農場の自動化を進めた場合にアニマルウェルフェアに及ぼす影響については、これまで分析されていない。
本研究の目的は、Welfare Quality® Assessmentプロトコルによるアニマルウェルフェアの指標と、様々な酪農場における自動化の程度との潜在的な相関関係を調べることである。このため、新しく開発された分類システムを用いて、ドイツ北部・中央部にある32か所の酪農場をその自動化の程度に従ってレベル分類した。調査に参加した各酪農場について、Welfare Quality® Assessmentのプロトコルを用いて、アニマルウェルフェアの状況を評価した。自動化レベルにおいて異なるこれらの農場について、アニマルウェルフェアの総合スコアと個別指標のスコアを分散分析によって比較した。
その結果、総合スコアに関して有意差は見られなかったことから、自動化の影響は、酪農場における飼養環境や管理方法など、アニマルウェルフェアに影響を及ぼす他の要因ほど大きくはないことが示唆された。しかし、搾乳・給餌・敷料システムは、乳牛の健全な行動に対して有意に影響していた。
自動化レベルが高いほど、人間と動物の関係に対して良好な影響を与えており、乳牛の情動状態はポジティブになっていた。さらに、自動化レベルが高い酪農場では、重度の跛行および下肢の汚れについての有病率が有意に低下していた。従って、より高度な自動化は、酪農場におけるアニマルウェルフェアの向上にとって有益であると結論できる。
Lianne Lavrijsen-Kromwijk, Susanne Demba , Ute Müller , Sandra Rose
2024/12/24
Impact of Automation Level of Dairy Farms in Northern and Central Germany on Dairy Cattle Welfare