論文概要
背景: より健康的で持続可能な食生活のために、肉の消費を減らすことが提唱されている。しかし、そのような食生活の変化の根底にあるメカニズムを理解するためには、行動学的な検証が必要である。
目的: 本研究では行動変容に関するステージモデル* に基づいて、フランスの成人を対象として、食肉の削減に向けた行動変化の各段階における動機を比較することを主な目的とした。第二の目的として、動物性と植物性の食材のバランスがより良い食事パターンの遵守状況が、経時的に見た行動変化の各段階とどのように関連しているかを調査した。
方法: ウェブベースのコホートNutriNet-Santé に登録された25,143人の非ベジタリアン参加者を対象とし、縦断研究における追跡期間は平均6.2年(SD 2.6年)であった。参加者の食事に関するデータは、2009年から2019年までの24時間の食事に関する自己記録から得られた。総エネルギー摂取量に対して肉が占める割合と、食生活に健康的な植物性食品と不健康な植物性食品が占める割合に関するスコアを計算した。
2018年に記入された質問票から、食肉消費の削減における行動変容のステージ(無関心期・関心期・準備期・実行期・維持期)を特定し、食肉の消費に関する動機を記録した。反復測定データに多変量線形混合モデルを用いて、食品摂取量の変化と行動変容のステージの関連を検証した。また、肉を減らす様々な動機をロジスティック回帰によって分析し、(性別・年齢・教育水準などの要因について)調整したうえで頻度として示した。
結果: 後半の実行・維持期においては、最初の無関心期と比べて、食肉摂取量は経時的に有意に減少しており(例えば、維持期と時間の交互作用 β = -0.08、P < 0.0001)、一方、健康的な植物性食品の消費スコアは経時的に有意に上昇していた(例えば、維持期と時間の交互作用 β = 0.11、P < 0.0001)。肉の消費を減らす動機としては、全てのステージにおいて健康と栄養、環境に関する懸念が最も頻繁に挙げられていた。
結論: 食肉の消費をすでに減らし始めていた(実行期・維持期の)人々では、肉を食べ続けていた人々に比べてより健康的で持続可能な食生活が遵守されていた。食肉消費削減の準備状況に応じて動機を特徴づけることで、公衆衛生キャンペーンを支援できる可能性がある。
* 人が行動を変える場合には、無関心期・関心期・準備期・実行期・維持期の5つのステージを経るとされる。
Anouk Reuzé , Caroline Méjean , Lucie Sirieix, Julia Baudry, Emmanuelle Kesse-Guyot, Nathalie Druesne-Pecollo, Joséphine Brunin, Serge Hercberg, Mathilde Touvier, Sandrine Péneau, Benjamin Allès
2023/09/28
Stages of Change toward Meat Reduction: Associations with Motives and Longitudinal Dietary Data on Animal-Based and Plant-Based Food Intakes in French Adults