論文概要
プラントベース食品を主体とした食生活には健康や環境の面で様々な利点があり、動物性食品の摂取を減らそうとする消費者は増えるものと予想される。これに伴って、公衆衛生に関わる機関や専門家は、このような変化を実現するために最適な指針を提供する必要がある。多くの先進国では、植物性のタンパク質と比較して、2倍近いタンパク質が動物性食品から摂取されているが、植物性のタンパク質をより多く摂取することで得られる潜在的なメリットがある。
動物性食品をまったく食べない、あるいはほとんど食べないというアドバイスよりも、それぞれの供給源から同量を摂取するようにというアドバイスの方が受け入れられやすい。しかし、現在消費されている植物性タンパク質の多くは精製された穀物から製造されており、プラントベースの食生活に関連した便益があるとは考えにくい。
これとは対照的に、豆類には十分な量のタンパク質に加え、食物繊維・レジスタントスターチ・ポリフェノールなど、健康に良いとされる成分が豊富に含まれている。しかし、栄養学領域では高く評価され支持されているにもかかわらず、世界全体のタンパク質摂取量のうち豆類が占める割合はごくわずかであり、特に先進国ではこうした傾向は強い。また、調理された豆類の消費量が今後の数十年間にわたって大幅に増加することはないという予測もある。
豆類を原料とするプラントベース代替肉は、伝統的な調理法で豆類を摂取することに代わる食品として、あるいは伝統的な調理法を補完する食品として期待される有効な選択肢である。プラントベース代替肉は、動物性食品が持つ感覚的特性や機能性を模倣することができるため、肉を食べる人々にも受け入れられる可能性があり、プラントベースの食生活への移行を促進し、その維持を容易にするという意味で、移行食であると同時に維持食ともなり得る。
プラントベース代替肉にはまた、プラントベースの食生活で不足する栄養素を配合して強化できるという明確な利点もある。ただし、既存のプラントベース代替肉がもたらす健康上の効果が豆類全体と同程度といえるのか、あるいはそのように配合できるかについては未だ確立されていない。
Mark Messina, Alison M. Duncan, Andrea J. Glenn, Francois Mariotti
2023/03/10
Perspective: Plant-Based Meat Alternatives Can Help Facilitate and Maintain a Lower Animal to Plant Protein Intake Ratio