論文概要
心血管疾患は世界全体での死亡原因の第1位であり、とりわけ高齢者の健康には大きな影響を及ぼしている。プラントベース食は、心血管疾患のリスクを軽減するための食事戦略として注目されており、植物由来の食品を摂取し、動物由来の食品をほとんど摂取しないことを特徴としている。この統合的レビューでは、高齢者における心血管疾患の危険因子(リスクファクター)を低減させるうえでのプラントベース食の有効性を検証する。
CINAHL・PubMed・Medlineのデータベースを用いて、65歳以上の高齢者を対象としたプラントベース食と心血管疾患の危険因子に関する研究を検索した。研究の質に関する評価はMixed Methods Appraisal Toolを用いて行い、計17件の論文(実験系7件・非実験系10件)について分析を行った。
すべての研究において、高齢者における心血管系の健康にプラントベース食が有益であることを示唆する所見が1件以上は報告されていた。特に重要な点として、プラントベース食を遵守することと、心血管疾患の主要な危険因子(LDL-コレステロール・血圧・BMIなど)が低下することの間には有意な関連があり、さらに冠動脈の石灰化の減少、血管内皮機能の増幅、血清イソフラボン濃度を上昇させるうえで有効である可能性がある。プラントベース食に関するエビデンスとしては、高齢者における心血管疾患の発症と進行を予防し、心血管疾患による死亡のリスクを低減するための効果的な食事戦略としての可能性も示されている。
今回のレビューからは、さらなる研究が必要であることも明らかとなった。今後は、高齢者を対象としてより大規模なランダム化比較試験を実施することでさらにエビデンスを強化し、ヘルスケアを推進するための指針とすることができる。プラントベース食は、高齢者における心血管疾患の予防・管理のための包括的な戦略の一環として考慮するべきであり、果物・野菜・豆類・ナッツ類・種子類・全粒穀物を多く含む食生活を奨励していく必要がある。
Tricia R. VanCleef, Amy Hutchens
2024/07/31
Plant-Based Diets and Cardiovascular Disease in Older Adults: An Integrative Literature Review