論文概要
背景・目的: ベジタリアン・ヴィーガンの食事は、さまざまな健康上の利益と関連があるとされており、近年ではますます重要となりつつある。このため本研究では、フレキシタリアン・ベジタリアン・ヴィーガンの食事パターンを雑食の食事と比較し、栄養素の摂取状況および非感染性疾患の危険因子への影響について検証した。
方法: 一定の食事プロトコールを5日間にわたって実施したのち、血液および24時間尿を採取して、栄養分の摂取量・血漿、血清または24時間尿に含まれる栄養素濃度・体組成・血中脂質を測定し、食習慣による影響を調べた[雑食65名(年齢の中央値/四分位範囲 33/17歳)、フレキシタリアン70名(30/17歳)、オボラクトベジタリアン65名(28/14歳)、ヴィーガン58名(25/10歳)]。
結果: 食事から動物性食品をより多く減らすに従って(雑食<フレキシタリアン<ベジタリアン<ヴィーガン)、エネルギー・飽和脂肪・コレステロール・二糖類・総糖類の摂取量が減少し、食物繊維・βカロテン・ビタミンE・ビタミンKの摂取量が増加する傾向が見られた。
ビタミンB12に関する複合指標 4cB12スコアは、ベジタリアンでは低下しており(0.02/0.75)、雑食(0.34/0.58、p≦0.05)およびフレキシタリアン(0.24/0.52、p≦0.05)と比べて有意に低かった。雑食の人では、ヴィーガンに比べて、血中のビタミンA・ビタミンE・フェリチン、尿中のセレン・ヨウ素・亜鉛が高くなっていた(p≦0.05)。一方、ヴィーガンではビオチン・葉酸・ビタミンCの血中濃度が最も高かった。
フレキシタリアン・ベジタリアン・ヴィーガンでは、雑食に比べて、体重・BMI・体脂肪率が低くなっていた(p≦0.05)。雑食の人では、ベジタリアン・ヴィーガンに比べて、総コレステロール・総コレステロール/HDLコレステロール比・LDLコレステロール・LDLコレステロール/HDLコレステロール比・アポリポ蛋白B・アポリポ蛋白B/アポリポ蛋白A1比が高かった(p≦0.05)。
結論: 研究の結果は、米国栄養士会 Academy of Nutrition and Dieteticsの見解を確証するもので、適切に計画されたベジタリアン食は健康的かつ栄養として充分であり、非伝染性疾患の予防と治療において健康上の利益をもたらす可能性があることを示している。しかし、摂取状況に問題のある栄養素は、すべてのグループにおいて見出されており、このことは、十分な栄養摂取のためには一人ひとりに合わせた栄養計画を組み立てる必要があることを強く示唆している。
Christine Dawczynski, Thomas Weidauer, Cora Richert, Peter Schlattmann, Kristin Dawczynski, Michael Kiehntopf
2022/05/16
Nutrient Intake and Nutrition Status in Vegetarians and Vegans in Comparison to Omnivores - the Nutritional Evaluation (NuEva) Study