論文概要
目的: 本研究の主な目的は、ベジタリアン食に対する明示的および暗黙的な感情とマインドフルネス*の役割を調査することである。自己調整による持続可能な行動変容に関する段階モデルに基づいて、得られた結果と目標意図との関連を検討した。
方法: 参加者の182名は、人口統計学特性に関する調査票、マインドフルネス尺度*2、思いやり尺度(Compassion Scale)に記入し、目標意図と個人的・社会的な規範に関する質問に回答した。参加者はさらに、(肉料理とベジタリアン料理の好き・嫌いについて)明示的に評価する課題、および(暗黙的な)感情プライミング課題を行った。
結果: 明示的評価課題では、雑食の人は肉料理をより肯定的に評価し、ベジタリアン・ヴィーガンはベジタリアン料理をより肯定的に評価した。しかし、(感情プライミング課題の結果から)参加者全員が、暗黙的にはベジタリアン料理をより肯定的に評価していた。マインドフルネスにおける「体験の観察」の側面と相関していたのは、(料理に関する)明示的な態度と目標意図のみだった。体験の観察と目標意図との関係を媒介していたのは個人的な規範だった。思いやりは、明示的・暗黙的のいずれの態度とも関連していなかった。
結論: 本研究は、以下の2点について最初の実証的な知見を提供する:1.ベジタリアン食に対する明示的な態度と暗黙的な態度は、マインドフルネスとの関係において異なっている 2.明示的な態度は個人の食習慣によって影響される。これらの結果について、持続可能性の問題との関連を議論する。
*1現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程(Wikipedia より抜粋)*2 ここでは「体験の観察」「言語化」「非反応」「非判断」「意識しながらの行動」の5つの側面についての尺度を用いている
Markus Siebertz, Franziska Anna Schroter, Christiane Portele, Petra Jansen
2021/12/01
Affective explicit and implicit attitudes towards vegetarian and vegan food consumption: The role of mindfulness