論文概要
肉の摂取量を減らしたい、あるいは肉食を避けたいと考えている人々にとって、社会的な状況が問題となることがある。本研究では、英国に在住し肉を食べる成人1,117人からなる大規模な代表サンプルを対象としてビネット*実験を実施し、4つの異なる社会的状況(バーベキュー・パブ・レストランディナー・ディナーパーティー)においてベジタリアン食がリクエストされた場合に、(肉を食べる人が抱く)感情的反応、およびリクエストする人に対する認識について調べた。
こうした認識に影響する要因として、リクエストする人がベジタリアンまたは肉食を制限していることを自ら名乗り出ているかどうか、またリクエストの動機について健康上の理由・環境問題・特にない場合で比べてどう異なるか、それぞれ検証した。
全体として、これらの条件による影響が大きく見られるのは、リクエストそのものに対する感情的反応よりも、(肉を食べる人の)リクエストする人に対する認識のほうであることがわかった。また、このような効果は、(ベジタリアン食かどうかの)食事の種類よりも、リクエストした動機の説明内容によって大きく影響されていた。
特に注目すべき結果として、ベジタリアン食をリクエストする動機として環境問題を挙げる人はよりネガティブに受け止められ、健康上の理由を挙げる人はよりポジティブに受け止められていた。また、肉に対する愛着の強さによって、回答者の受け止め方には大きな異質性が見られ、肉への愛着が強い人は、ベジタリアン食をリクエストする人をよりネガティブに認識し、そのリクエストに対する感情的反応は、ネガティブな要素が強く、ポジティブな要素は弱かった。。
* 提示された仮想的な状況に対して参加者が回答することで、人々の知覚・価値観・社会規範・出来事に対する印象などを調べる調査方法
Kate Laffan, Emma Howard
2024/10/16
The impact of explaining vegetarian meal requests on the affective responses and perceptions of meat eaters