論文概要
目的: 卵の購入に際して、ヨーロッパ9カ国の市民が、食品としての卵の品質・製品としての持続可能性(アニマルウェルフェア・原産国・生産方法)をどのように認識しているかについて情報を提供する。
デザイン/方法論/アプローチ: 2021年にヨーロッパ9カ国(フィンランド・イギリス・フランス・イタリア・ベルギー・ドイツ・オランダ・ルーマニア・デンマーク)におけるオンライン調査によってデータを収集した。合計で3,601件の回答が得られた。統計解析では、探索的因子分析・独立標本t検定・対標本t検定・一元配置分散分析を用いて、卵の品質のレベルおよび社会人口学的グループ間の差異を検証した。
調査結果: ヨーロッパ諸国の市民は、卵の購入に際してアニマルウェルフェア・生産方法・原産国を重要視していた。市民が認識する卵の品質は、製品の特性とつくる責任*の2つの側面と関連しており、また社会人口統計学的集団(年齢・性別・教育・居住国)によって認識に違いが見られた。また、社会人口学的グループ(年齢・性別・学歴・居住国)により認識の違いが見られた。つくる責任を最も高く評価していたのは高学歴の若い女性であった。また、オランダとルーマニアでは、つくる責任に比べ製品の特性に対する市民の選好が強く、ドイツでは、製品の特性よりもつくる責任が高く評価されていた。
独創性/意義: 本研究の結果は、卵の品質に対する市民の認識、および卵の購入における製品の持続可能性の重要性について新たな情報を提供する。さらに、市民の認識においてヨーロッパ9カ国間では相違があることを明らかにした。
* 国連の持続可能な開発目標(SDGs)17項目のうちの一つ(目標12)
Charlotta Harju, Katja Lähtinen, Katriina Heinola, Minna Väre, Claire Bonnefous, Anne Collin, Vasile Cozma, Saskia Kliphuis, Patricia Ann Parrott, T. Bas Rodenburg, Marina Spinu, Jarkko Niemi
2023/10/17
Consumers' views on egg quality and preferences for responsible production – results from nine European countries