論文概要
目的: 本研究では、中国の中高年成人を対象とした横断調査において、中国向けに合わせたMIND食*と全般的な認知機能、および個別の認知機能の成績との関係を検証することを目的とした。
方法: 横断調査において、「ライフスタイルと健康的なエイジングに関する中国スクエアダンス・コホート」から得られたベースラインデータを用いた。後ろ向き調査による食物摂取頻度質問票には詳細かつ半定量的なデータが含まれており、これを用いて中国向けMIND食の遵守度に関するスコアを算出した。全般的な認知機能を示すZ値は、聴覚性言語学習検査・言語流暢性課題・数字符号置換検査・トレイルメイキングテストにおけるそれぞれのZ値を平均して算出した。軽度認知障害の診断は、Petersenの診断基準に基づいて行った。MIND食スコアと認知機能のZ値との関係は、重回帰モデルを用いて分析し、食事スコアと軽度認知障害との関連は重ロジスティック回帰モデルを用いて検証した。
結果: 対象となった参加者は合計4335人で、平均年齢は63.61歳(SD 5.15歳)であった。このうち85.07%は女性であり、13.33%(578/4335人)には軽度認知障害があった。完全調整モデルにおいて、食事スコアが最も高いグループは、最も低いグループに比べて認知機能は非常に良好であり(P < 0.05)、全般的認知機能(β = 0.10、95%CI:0.05, 0.15)、聴覚性言語学習検査(β=0.12、95%CI:0.03, 0.20)、言語流暢性課題(β=0.12、95%CI:0.03, 0.20)、数字符号置換検査(β=0.07、95%CI:0.00, 0.14)、トレイルメイキングテスト(β=-0.10、95%CI:-0.18, -0.01)となっていた。さらに、食事スコアが最も高い群では、最も低い群と比較して、軽度認知障害に関するオッズ比の低下が見られた(0.69, 95% CI: 0.51, 0.93)。
結論: 本研究の結果は、中国の中高年成人において、中国向けMIND食の遵守度が高いほど認知機能が向上し、軽度認知障害の有病率に関するオッズ比が低下することを支持するものである。
* 神経系の変性を遅らせるための介入法として、高血圧を防ぐための食事療法(DASH食)と地中海食を組み合わせて考案された食事法(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)。新鮮な野菜・果物、ポリフェノールを多く含むベリー類、豆類などの摂取を推奨している。
Likang Lu, Silong Cai, Qing Xiao, Jianying Peng, Fengping Li, Yuanyuan Li, Benchao Li, Tingting Li, Shuang Rong
2024/11/23
The association between Chinese adapted MIND diet and cognitive function in Chinese middle-aged and older adults: results from the Chinese Square Dance Cohort