論文概要
気候変動と健康増進に取り組む上で重要な課題の一つとして、社会における食肉消費を減らすことがある。交通信号をデザインしたラベルによる表示は、不健康な食品や砂糖入り飲料の消費を減らすために導入されており、これまでに成功を収めている。本研究は、ここで得られた知見を食肉の選択に拡張したものである。
英国の成人で肉を食べる消費者1,300名を対象とした実験的調査を実施した(全国民を代表するサンプルに近似させるため、参加者の年齢と性別について割当を設けた)。次の4つの実験グループのいずれかに参加者を無作為に割り当てた:1.肉料理のみに「気候への影響が大きい」という文章が表示された赤信号のラベル、2.ベジタリアン・ヴィーガン料理のみに「気候への影響が小さい」という文章が表示された青信号のラベル、3.対応する食事のそれぞれに赤/青/黄の信号ラベル(肉料理に赤、魚料理に黄、ベジタリアン料理に青など)、4.ラベルを使わない対照条件。
無作為に割り振った各グループで食事を選択する課題を実施し、参加者は20回の試行に対して回答した。異なるグループにおける主要アウトカム(20回の試行のうち肉料理が選択された割合)の変化を検証するためβ回帰を用いた。ラベルなしの対照群と比較して、赤信号ラベルおよび赤/青/黄の信号ラベルでは肉料理が選択される割合は有意に減少し、その減少幅はそれぞれ9.2%と9.8%であった。青信号のみのラベルでは対照群と差がなかった。
交通信号のラベルによるネガティブなフレーミングは、食肉の選択を抑制するうえで有効であると思われる。こうしたラベルは肉を食べる人にもある程度受け入れられており、ラベルそのものが商品の魅力を影響するとは見られていなかった。これらの結果は有望なものといえるが、今後、現実の環境において再現する必要がある。
Jack P Hughes, Mario Weick, Milica Vasiljevic
2024/05/17
Can environmental traffic light warning labels reduce meat meal selection? A randomised experimental study with UK meat consumers