論文概要
紀元前4世紀のヒポクラテスの時代から今日に至るまで、動物実験はさまざまな目的のために広く用いられてきた。しかし、研究のために動物を使用することに関しては、長年にわたって論争が続いてきた。本研究では、動物実験に関するスペイン社会の意識を調査するため、オンラインアンケートによる公開調査を実施したので、その結果を報告する。人口統計学的データおよびこの問題に対する考え方について、回答者 806名からデータを収集した。
その結果、動物実験を受容する割合は高いことがわかった(73.1%)。しかし、いくつかの特定の要因がある場合には、より否定的な見解が示される傾向があり、これには例えば、この問題に関して否定的な報道を読んだ直後にアンケートに回答した場合や(OR = 2.41; 95%CI: 1.64-3.54; p < 0.001)、女性の回答者(OR = 1.77; 95%CI: 1.24-2.53; p = 0.002)、科学研究に関わっていないこと(OR = 2.47; 95%CI: 1.76-3.47; p < 0.001)などが含まれていた。
回答者のこうした考え方には、ジェンダーや教育水準による影響があるとともに、メディアで報道された(動物実験への)抗議事件による影響もあると思われる。研究の結果からはまた、また、動物のケアや取り扱いに関するプロトコルや法律など、アニマルウェルフェアに関する多くの情報が人々には知られていないことがわかった。
さらに、得られた回答には、コンパニオン・アニマルの人気が高まっていることや、生物医科学以外の領域での動物実験に反対する姿勢が反映されていた。研究のために動物を使用することは、動物倫理およびアニマルウェルフェアに関する懸念という観点からデリケートな社会問題であることが明らかになった。
Andrea Miguel-Batuecas, Manuel Fuertes-Recuero, David Díaz-Regañón, Gustavo Ortiz-Díez, Luis Revuelta, Juan A De Pablo-Moreno
2023/06/20
Animal Research in Spain: A Study of Public Perception and Attitudes