論文概要
- 環境への影響に関する情報を提供することで、肉の消費を減らすことができる
- 健康上のリスクや社会規範を伝えること、一食当たりの肉の分量を減らすことにも効果がある
- メタアナリシスを実施したレビューはほとんどなく、効果量の定量化は困難である
- 他の動物性食品に関しても同様に懸念があるが、ほとんどのレビューでは食肉に焦点を当てている
- 乳製品の摂取を促すために使われる手法をプラントベース代替食品に用いても良いかもしれない
プラントベース食への移行によって健康と持続可能性に関する現在の問題を緩和することができる。しかし、動物性食品の消費に対する介入策に関する従来の研究成果はまとまっていないため、研究者や実務担当者がアクセスしにくい状況にある。そこで本稿では、既存のシステマティックレビューをさらに概観するメタレビューを実施した。
動物性食品の消費量を増加あるいは減少させる介入策について、関連するシステマティックレビューを5つのデータベースから検索した。レビューでは一次研究での効果量が記載されることはほとんどないため、介入による消費量の増減から各研究における効果を定量的に要約した。選択基準を満たしたレビューは18件で、このうち12件では動物性食品の消費削減を目的とした介入策、6件では動物性食品の消費量を増やすための介入策が検討されていた。定量的なメタアナリシスを行っていたのは2件のみであった。
全てのレビューに対して開票法を用いた分析から、環境に与える影響についての情報を提供することで肉の消費が減少する可能性があり、11件の推定値のうち10件で消費量の減少が示唆された(91%、95%CI [62.3%, 98.4%]; p = 0.012)。エビデンスとしてはより限定的ではあるが、健康への影響に関する情報の提供や、社会規範を強調して伝えること、一食当たりの肉の分量(ポーションサイズ)を減らすことにも効果があると思われる。
動物性食品の消費量を減少させる介入策について検討したレビューでは、肉に焦点が当てたものがほとんどであった(12件のうち10件)。今後のレビューでは、状況に合わせて適切に研究結果を定量的に統合するとともに、肉以外の動物性食品の消費に影響を及ぼす介入策について検討する必要がある。
Emily A.C. Grundy, Peter Slattery, Alexander K. Saeri, Kieren Watkins, Thomas Houlden, Neil Farr, Henry Askin , Joannie Lee, Alex Mintoft-Jones , Sophia Cyna, Alyssa Dziegielewski, Romy Gelber, Amy Rowe, Maya B. Mathur, Shane Timmons, Kun Zhao, Matti Wilks, Jacob R. Peacock, Jamie Harris, Daniel L. Rosenfeld, Chris Bryant, David Moss, Michael Zorker
2021/12/29
Interventions that influence animal-product consumption: A meta-review