論文概要
肉を食べることは持続不可能であり、不健康かつ非倫理的であるとの見方は強まりつつあり、人々が肉の摂取を減らすのを支援できる要因を明らかにすることは急務となっている。肉に対する嫌悪感は、そのような要因のひとつであり、これはベジタリアンの多くが語っている感情であるとともに、食肉削減に向けた有効な介入策の基礎となる可能性がある。しかし、肉への嫌悪感と、それが肉の消費に及ぼす影響については十分に理解されていない。
我々は、オンラインによる横断的および縦断的調査を実施し、肉に対する嫌悪感が、ベジタリアンの食生活や(それ以外の人々における)肉の消費削減にどのように関わっているかを検討した。地域住民から募集した成人711名(雑食57%、フレキシタリアン28%、ベジタリアン15%)を対象として、自己申告による肉の消費量・肉への嫌悪感(自己申告と潜在連合テスト*による)・肉に対する愛好度・セルフコントロール・嫌悪感受性を測定した。
その結果、ベジタリアンの73%は「肉嫌い」に分類された。また、雑食の人およびフレキシタリアンでは、肉への嫌悪感についてのスコアから、セルフコントロールのスコアからよりも正確に肉の消費量を予測することができた。6ヵ月後に参加者の一部(197人)で実施した追跡調査では、この期間における肉の消費量の経時変化は、肉への嫌悪感の変化とも関連していた。
本研究は、ベジタリアンおよびそれ以外の一般の人々において、肉への嫌悪感がどの程度存在しているのか、またそれが肉の消費にどのように影響しているのかを定量的に評価した初めての研究である。我々の研究結果は、食肉嫌悪に関する研究を前進させるとともに、肉の消費量を減らすために嫌悪感を利用した介入方法の開発を促すものである。
*人が自分で意識することのできない潜在的態度を測定するためのテスト
Elisa Becker, Natalia S. Lawrence
2021/05/06
Meat disgust is negatively associated with meat intake – Evidence from a cross-sectional and longitudinal study