論文概要
アメリカンフットボール選手は、筋肉の発達と運動能力を最大限に高めるために、従来からの推奨に従って動物性タンパク質を大量に摂取している。これとは対照的に、米国人のための食生活指針によれば、健康の増進と慢性疾患のリスク低減のために肉の摂取を減らし、プラントベース食品の摂取を増やすことが推奨されている。これまでの研究では、完全にプラントベースによる食事によってアメリカンフットボール選手の栄養ニーズを満たすことができるかについては検証されてこなかった。
このモデリング研究では、大規模コホート(アドベンチスト健康調査 2 Adventist Health Study 2)において完全なプラントベース食を遵守している参加者の食事データを、プロのアメリカンフットボール選手に必要なカロリー量に合わせてスケーリングした場合、そこに含まれるタンパク質・ロイシン・微量栄養素の含有量が身体的パフォーマンスと健康維持のために必要な量に達しているかどうかを検証した。Cunningham 方程式を用いて必要なカロリー量を推定し、このカロリー量に合わせてアドベンチスト健康調査 2から得られた各栄養素の摂取量を換算した。
タンパク質の摂取量は 1.6~2.2 g/kg/日、ロイシンの摂取量は1日4回の食事のそれぞれで 3.8~4.1 g/食であり、これらは筋肉量・筋力・筋タンパク質合成をそれぞれ最大化するために理論上必要なレベルを満たすだけでなく、上回っていた。プロのアメリカンフットボール選手のエネルギー必要量を満たすようプラントベース食を調整した場合、筋肉の発達と運動能力のために必要なタンパク質・ロイシン・微量栄養素の必要量は満たされていた。アメリカンフットボール選手の運動能力は、慢性疾患を予防するための食生活指針とは乖離しているが、本研究の結果からは、完全なプラントベース食によってこのような乖離を解決できる可能性がある。
David M Goldman, Cassandra B Warbeck, Micaela C Karlsen
2024/06/17
Protein Requirements for Maximal Muscle Mass and Athletic Performance Are Achieved with Completely Plant-Based Diets Scaled to Meet Energy Needs: A Modeling Study in Professional American Football Players