論文概要
倫理上の懸念や環境問題、社会的な理由から、肉の大量消費に対する批判が高まっている。プラントベース代替肉が肉よりも健康的なタンパク源であることは、条件付きではあるが確かめられている。こうした代替食品には社会的・環境的にみていくつかの利点があるだけでなく、健康面でもおそらく利点があるため、肉の消費を減らすうえで重要となる可能性がある。しかし、代替肉の個々の属性がどのように消費者に影響し、食生活において肉を代替することにつながるかに関してはこれまで検討されてこなかった。
多くの国々における調査から、消費者が肉に強い愛着を持っていることが明らかにされており、肉は毎日の食生活に欠かせない要素であると考えられている。このため、ヴィーガン食・ベジタリアン食で肉を代替することに関心のない消費者にとって、いわゆるハイブリッド肉は、より持続可能な食生活のために抵抗感の少ない選択肢となり得る。ハイブリッド肉では、食肉製品に含まれる肉のうち20%~50%が植物性タンパク質に置き換えられている。本稿では、ドイツの消費者500人を対象としてハイブリッド肉に対する選好と態度に関するオンライン調査を実施した結果を紹介する。
調査の結果から、50%以上の消費者は時々か、それ以上の頻度で代替肉を食べると回答しており、持続可能性と健康に関して、ある程度は適格な消費行動をとっていることがわかった。ハイブリッド肉と従来の肉のどちらを選ぶかの決定要因としては、健康に関する認識が最も大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。すなわち、ハイブリッド肉がより健康的なものと認識されるほど、ハイブリッド肉が選ばれる確率も高くなっていた。したがって、この動機は利己的なものであるが、新しい食品カテゴリーとしてハイブリッド肉の選択を促すうえでは、アニマルウェルフェアや環境への配慮のような利他的な動機を凌ぐ効果があると考えられる。
Adriano Profeta, Marie-Christin Baune, S. Smetana, S. Bornkessel, Keshia Broucke, G. Van Royen, U. Enneking, J. Weiss, V. Heinz, S. Hieke, N. Terjung
2021/01/21
Preferences of German Consumers for Meat Products Blended with Plant-Based Proteins