論文概要
精製・加工されていないプラントベース食品を増やし、赤身肉や加工肉を減らした食事パターンは、気候変動に対して大きな効果のある行動として専門家によって推奨されている。しかし、人々が植物性プラントベース食品を多く含む食事パターンを選ぶ意欲に関してはあまり理解されていない。本研究では、米国の成人を対象として、植物性材料を多く含む食事パターンとその実践に対する認識・信念・行動を10年間にわたって調査した。
国際食品情報協議会による食品と健康に関する調査(2012~2022年)の15項目の質問事項について、持続可能性の4領域(健康・環境・社会・経済)にわたって分析を行った。回答者の大半は、環境的に持続可能な食品や飲料に対して好意的な認識を持っていたが、消費者の購入決定において持続可能性が影響したのは半数以下の場合であった。
植物性材料を多く含む食事パターンを遵守する割合は調査期間を通じて増加し、2019年の12.1%から2022年には25.8%となっていた(p<0.001)。米国人の4分の1(28.1%)は、12ヵ月間(2020~2022年)で赤身肉の摂取量を減らしたと回答した。しかし、それ以外の15.5%の参加者は12ヵ月間で赤肉の摂取量が増えたと報告し、他の18.8%ではプラントベース代替肉の摂取量が増えたと報告していた。過去12ヵ月間で赤身肉とプラントベース代替肉の消費量が増えたと回答した人の割合は、調査期間(2020~2022年)を通じて有意に増加した(p<0.05)。国際食品情報協議会による調査結果は、健康・環境・社会の持続可能性に対する米国消費者の意識の高まりを浮き彫りにしているが、植物性材料を多く含む食事パターンを選択し実践する割合は低かった。
米国人に情報を提供し、植物性材料を多く含んだ食事行動を選ぶように動機付けるためには、政府によるリーダーシップと医療関係者・市民社会・企業による協調が必要である。また、食品や飲料製品が人間と地球の健康をどのように支えているかを示すために、業界の透明性を高めることも必要である。
Katherine Consavage Stanley, Valisa E. Hedrick, Elena Serrano, Adrienne Holz, Vivica I. Kraak
2023/12/01
US adults’ perceptions, beliefs, and behaviors towards plant-rich dietary patterns and practices: International Food Information Council Food and Health Survey insights, 2012-2022