論文概要
「本当の男なら肉を食べる」。この考え方は、時代や文化を超えて広く浸透しているが、その一方で、すべての男性に同じように当てはまるわけではないため、あまりにもステレオタイプに偏っており、社会集団におけるジェンダーのあり方への文化的信条に依拠したものだとする批判もある。伝統的な意味で男性が守るべき規範や男性が持ってきた特権に疑問を抱き、より自分らしさや家庭生活、全人的に自分を認識することに価値をおく男性は増えつつあり、これは「男らしさの新しい形」であると考えられている。
本研究では、男らしさに関するこうした新しい考え方から、男性における肉の消費量、肉を減らす意欲、ベジタリアンに対する態度の違いを予測できるかどうかについて、個人のレベルから検証した。肉を食べる男性の参加者309人を対象として、新しい男性像についての自己認識・肉へのこだわり・肉の摂取を減らす意欲・ベジタリアンに対する態度について調査を行った。
結果においては、予測されたとおり、新しい形の男らしさを強く自認している男性ほど、肉の消費量は少なく、肉へのこだわりは弱く、肉の摂取量を減らす傾向が強く、ベジタリアンに対する態度はより肯定的であることが明らかになった。
この研究結果は、食肉消費に関する研究や、肉の消費削減を推進する際には、生物学的な性差だけでなく、社会的・文化的に決定された性差(ジェンダー)を考慮に入れる必要があることを示唆している。
Charlotte De Backer, Sara Erreygers, Charlotte De Cort, Frederic Vandermoere, Alexander Dhoest, Jules Vrinten , Sofie Van Bauwel
2019/12/15
Meat and masculinities. Can differences in masculinity predict meat consumption, intentions to reduce meat and attitudes towards vegetarians?