論文概要
背景: 植物性タンパク質の食事の推進は、公衆栄養学における多くの取り組みの最前線にある。
目的: 植物性タンパク質の食事摂取に関する社会人口学的要因を明らかにし、食事の質やコストとの関連について検証する。
方法: 対象となった1636名のサンプルは、シアトル肥満研究 Seattle Obesity Studyから得られた。社会人口統計学的データは調査において参加者の自己申告から収集した。食事の質とコストについては、フレッドハッチンソンがん研究センターによる食物摂取頻度調査票と食品小売価格を連結させて得られた。食事の質の指標としては、健康食指数 Healthy Eating Index 2010(HEI-2010)および主要栄養素に関する平均適正比率を用いた。頑健標準誤差に関する線形回帰を用いて要因間の関連性を検証した。
結果: 1日の食事に含まれるエネルギーのうち、総タンパク質は16.8%を占めていた。このうち、動物性タンパク質と植物性タンパク質の内訳は、それぞれ10.9%と5.9%であった。社会人口統計学的要因のうち、植物性タンパク質の摂取と関連があったのは、健康的な食事に対する肯定的な態度、教育水準が高いことであったが、所得との関連は見られなかった。
植物性タンパク質の食事では、ナッツ類・種子類・大豆・豆類の摂取量が数倍に増えていたが、赤肉・鶏肉・乳製品・固形脂肪・糖質添加は大幅に減少していた。植物ベースの食事の四分位が高いほど、健康食指数は有意に高く(第1から第4四分位までのβ: 13.0、95%CI:11.8, 14.3)、主要栄養素の適正比率は高かった(β:6.0、95%CI:3.5, 8.5)。
これとは対照的に、動物性タンパク質食の四分位が高いほど、食事コストは高くなったが(β:1.07、95%CI:0.77, 1.36)、健康食指数は低くなった(β:-3.2、95%CI:-4.5, -1.9)。植物性タンパク質からのエネルギーが3%増えるごとに、健康食指数は8.4単位増加し(95%CI:7.6, 9.1)、主要栄養素の適正比率は4.1単位増加した(95%CI:2.7, 5.5)が、食事コストの増加はごくわずかであった(β:0.28、95%CI:0.06, 0.50)。
結論: 植物性タンパク質を中心とする食生活は、あらゆる所得水準において、食事の質を改善するコスト効果の高い方法であると考えられる。今後の研究では、アミノ酸と健康に関する植物性タンパク質の質を評価する必要がある。
Anju Aggarwal, Adam Drewnowski
2019/06/07
Plant- and animal-protein diets in relation to sociodemographic drivers, quality, and cost findings from the Seattle Obesity Study