論文概要
食肉製品を代替するプラントベース食品が、食後の満足感にどのように影響しているかについてはほとんどわかっていない。拡張現実 augmented reality (AR) には感覚的な体験を強化する働きがあることから、ここでは満足感も強くなるのでないかという仮説を立てた。
本研究では、ミートボールとプラントベースのミートボールで満足感を比較し、さらにARによって視覚・嗅覚・触覚における感覚的特性を強化したプラントベースのミートボールとも比較した。ミートボール、(ARによる強化なしの)プラントベースのミートボール、強化したプラントベースのミートボールを無作為順でそれぞれ別の日に参加者に提供した。満足感の測定では、肥満していない成人28名を対象として、これらのミートボールと追加で提供されたスナックを好きなだけ食べた総量、および主観的に感じる食欲の強さとして評価した。これら3種類のミートボールに対する好みや、食べたいと思うかどうかについても調査した。
満足感については、3種類の製品の間で差はなかった。ARで強化されたプラントベースのミートボールは、試食前にはミートボールや、強化なしのプラントベースのミートボールほどには好まれていなかったが(それぞれp = 0.002、p = 0.046)、最初の1個目のミートボールを食べた後、または好きなだけ自由に食べた後は、好みに差は見られなくなった。食べたいかどうかについての評価はそれぞれの製品で変わりはなく、食べている間に弱まった(p < 0.001)。
ARの影響を受けやすいグループ(11名)では、ARによる強化が施されると全体の摂取量が減少した。このサブグループでは、ARで強化したミートボールを食べたいという欲求は、試食前および最初の1個目を食べた後では低かった(それぞれ p = 0.019、p = 0.002)。また、ARの影響を受けにくい他の参加者と比べると、自由に食べた後の食欲はあまり低下しなかった(p = 0.01)。
以上から、ミートボールとプラントベースのミートボールで得られる満足感は同等であり、ARによって複数の感覚を増強しても満足感に影響しなかったと結論できる。しかし、試食前における好みは、多感覚の増幅によって弱まっていた。ARへの感受性に関しては消費者の間で違いがあり、今後の研究において検討する必要がある。
Saara Vanhatalo, Jenni Lappi, Jussi Rantala, Ahmed Farooq, Antti Sand, Roope Raisamo, Nesli Sozer
2023/12/17
Meat- and plant-based products induced similar satiation which was not affected by multimodal augmentation