論文概要
目的: 肥満は米国において最も広く蔓延している慢性疾患であり、米国人の70%以上が過体重や肥満の状態にある。近年では、倫理・健康・環境に関する懸念のためにプラントベースの食事を取り入れる動きが広がっている。本研究の目的は、過体重または肥満の患者においてプラントベース食による減量の効果を検証することである。
方法: 肥満治療にプラントベース食を用いた研究に関する文献をPubMedとScopusのデータベースで検索した。その結果、介入試験27件(参加者 3361人)とメタアナリシス6件(参加者 9168人・61試験)が得られた。
結果: 評価対象となった介入試験のうちの75%において、プラントベース食による介入群では体重の減少幅が大きくなるか、もしくは体重の減少が見られており、平均では5.0kgの減少(減少幅1.8~12.1kg)となっていた。その他のアウトカムとしては、エネルギー摂取量の低下(一日当たり420 kcal)、収縮期血圧の低下(3.78 mmHg)、空腹時血糖の低下(2.0 mmol/L)、ヘモグロビンA1cの低下(0.5%、3.4 mmol/L)、総コレステロールの低下(0.40 mmol/L)、LDLコレステロールの低下(0.38 mmol/L)、中性脂肪の増加(+0.13mmol/L)、食物繊維摂取量の増加(+10.8g/d)などがあった。6件のメタアナリシスにおいては、体重の減少(平均 2.9 kg、減少幅 2.02 kg~4.1 kg)、肥満度の低下、ヘモグロビンA1c・LDLコレステロール・総コレステロール値の改善が見られた。
結論: プラントベース食によって体重は大幅に減少し、代謝に関連するアウトカムにも改善が見られる。また、減量を維持するうえで長期にわたって持続可能なアプローチとなる。医療関係者は、食生活について患者とオープンに話し合うことを奨励し、患者が実践できるライフスタイルの目標設定を支援するとともに、プラントベース食への移行をサポートするためのチーム医療による取り組みを検討する必要がある。
Sandhya Rao Bassin, Julia Ferreira De Carvalho , Mahima Gulati
2024/05/08
A Review of Plant-Based Diets for Obesity Management.