論文概要
プラントベースの食事はますます広がりつつある。ベジタリアン食は環境にやさしく、健康面でもメリットがある。バランスのとれたプラントベース食は、年齢にかかわらず人生の各段階において望ましいものである。雑食に比べ、ベジタリアン食には果物や野菜、繊維質・ビタミンC/E・マグネシウムが多く含まれ、飽和脂肪酸は少ない。一般にベジタリアンは雑食の人に比べて栄養に関する知識があり、スリムで健康的で長生きである。さらに、プラントベースの食事を摂ることによって心血管疾患・高血圧・2型糖尿病・肥満・一部のがんを含む慢性疾患の発症を防ぐことができるとされている。
インスリンに対する抵抗性は、摂取する食物によって大きく影響される。カロリーが高く加工度の高い食品や肉類、甘味飲料を摂取することが欧米における食生活の特徴であるが、これらはインスリン抵抗性を増強させ、2型糖尿病の原因となる。これとは対照的にベジタリアンの食生活では、豆類を摂取し、肉類や動物性食品を控えることによって大きなメリットが得られる。
これまでの研究では、ベジタリアンやヴィーガンでは、血糖値・インスリン・総コレステロール・LDL コレステロールなどの検査値がより良好であり、インスリン抵抗性の恒常性モデル評価(HOMA-IR)の結果も良好であることがわかっている。プラントベース食品を多く含み、動物性食品が少ない食生活では、インスリン抵抗性が低下し、境界型糖尿病前や2型糖尿病の発症リスクが低下する。
本稿では、プラントベース食がインスリン抵抗性に及ぼす影響を調べることを目的とし、ベジタリアンやヴィーガンの食事がインスリン抵抗性に与えるポジティブな効果を明らかにするとともに、その治療と予防にプラントベース食を臨床応用する可能性について考察した。文献のレビューでは、「根拠に基づく医療Evidence-Based Medicine」の要件を満たし、信頼できる最新の論文を対象とした。
Michalina Banaszak, Ilona Górna, Juliusz Przysławski
2022/03/27
Non-Pharmacological Treatments for Insulin Resistance: Effective Intervention of Plant-Based Diets-A Critical Review