論文概要
背景: 米国は、一人当たりの赤身肉の消費量が世界で最も多い国のひとつである。赤身肉の消費を減らすことは、食生活が環境に与える影響を最小限に抑え、健康状態を改善するために極めて重要である。警告メッセージは、砂糖入り飲料のような製品の購入を減らすうえでは有効だが、赤身肉については開発されていない。本研究では、赤身肉に関する健康と環境への警告メッセージを開発し、これらのメッセージに対する参加者の反応を調査した。
方法: この探索的研究では、米国において便宜的抽出法で得られた赤身肉の消費者(1,199人・平均年齢45歳)を対象として、2020年にオンライン調査で参加者に回答を求めた。赤身肉の摂取にともなう様々なリスクを説明した健康に関する警告メッセージ、または環境問題に関する警告メッセージのいずれかに無作為に割り付けられ、そのメッセージを閲覧した(被験者間要因)。これらのメッセージは、無作為な順序によって参加者に提示された(被験者内要因、健康に関するメッセージ8件または環境に関するメッセージ10件)。参加者は、これらのメッセージのそれぞれについて、警告としての有効性を測るための3項目の質問に(低いから高いまでの)5段階の評価スケールによって回答した。これに続いて参加者は、今後の7日間で赤身肉の消費を減らす意向について、同じく5段階評価で回答した。
結果: 健康についてのメッセージは、環境についてのメッセージと比較して、より強い警告の効果を誘発した(平均値 2.66 vs. 2.26、p < 0.001)。また、赤身肉の消費を減らす意向に関しても、健康についてのメッセージは、環境についてのメッセージよりも強い効果をもたらした(2.45 vs.2.19、p < 0.001)。健康と環境が及ぼす害に関する対比較では、ほとんどの項目において統計的な有意差は見られなかった。
結論: 赤身肉の消費を減らすうえで、健康についてのメッセージは、環境についてのメッセージに比べて、警告として効果が大きいと認識されていた。今後の研究では、これらのメッセージが実際の行動に及ぼす影響を測定する必要がある。
Lindsey Smith Taillie, Carmen E. Prestemon, Marissa G. Hall, Anna H. Grummon, Annamaria Vesely, Lindsay M. Jaacks
2022/06/24
Developing health and environmental warning messages about red meat: An online experiment