論文概要
重要性: ヴィーガン食は、雑食の食事と比較して心血管系に有益であることを示唆するエビデンスは増えており、これには野菜、・豆類・果物・全粒穀物・ナッツ類・種子類の消費量の増加による食事の質の向上が関わっていると考えられる。
目的: 8週間の介入期間における心代謝指標への効果を健康的なヴィーガン食と健康的な雑食で比較する。
デザイン・設定・参加者: 単一施設での集団ベースの無作為化臨床試験において、22組のふたご(44名)の参加者をヴィーガン食または雑食に無作為に割り当てた(それぞれの食事にふたごの1人)。参加者の登録は2022年3月28日に開始し、2022年5月5日まで継続した。追跡データの収集は2022年7月20日に終了した。非盲検による8週間のランダム化並行群間比較試験において、一卵性ふたごを対象としてヴィーガン食と雑食の健康への影響を比較した。利用可能なすべてのデータを一次解析に用いた。
介入: ふたごのペアを8週間にわたって健康的なヴィーガン食または健康的な雑食に無作為に割り当てた。血試験開始から4週目まではそれぞれの食事はベースラインから食事宅配サービスによって提供され、5週目から8週目まではヴィーガン食または雑食に適合した食事と間食を参加者自身で用意した。
主要アウトカムと測定尺度: 主要アウトカムは、ベースラインからエンドポイント(8週目)までのLDLコレステロール値の差とした。副次的アウトカムの評価項目は、心代謝因子(血漿脂質・血糖値・インスリン値・血清トリメチルアミンN-オキシド値*)、血漿ビタミンB12値、体重の変化とした。探索的な評価項目は、割り当てられた試験食の遵守状況、試験食の摂取の容易度・困難度、参加者の摂取エネルギー、および幸福感とした。
結果: 合計22組のふたご(44名)(女性34名 [77.3%]・平均年齢 [SD] 39.6 [12.7]歳・平均 BMI [SD] 25.9 [4.7])が試験に登録された。8週間後、雑食に割り当てられたふたごと比較して、ヴィーガン食に割り当てられたふたごでは、LDLコレステロール値が有意に減少し(平均 [SD]: -13. 9[5.8]mg/dL、95%CI: -25.3~-2.4 mg/dL)、さらに空腹時インスリン値(-2.9[1.3]μIU/mL、95%CI: -5.3~-0.4μIU/mL)および体重も有意に減少していた(-1.9[0.7]kg、95%CI: -3.3~-0.6 kg)。
結論と関連性: 雑食とヴィーガン食の心代謝系への影響に関して一卵性ふたごを対象として実施した無作為臨床試験では、健康的な雑食に比べて健康的なヴィーガン食では心代謝系のアウトカムの改善が見られた。従って、臨床医はこの食事法を患者のための健康的な食事の選択肢として考慮して良いと言える。
* アテローム性動脈硬化などの心血管疾患のリスクと関連があるとされている
Matthew J Landry, Catherine P Ward, Kristen M Cunanan, Lindsay R Durand, Dalia Perelman, Jennifer L Robinson, Tayler Hennings, Linda Koh, Christopher Dant, Amanda Zeitlin, Emily R Ebel, Erica D Sonnenburg, Justin L Sonnenburg, Christopher D Gardner
2023/11/30
Cardiometabolic Effects of Omnivorous vs Vegan Diets in Identical Twins: A Randomized Clinical Trial