論文概要
食肉の消費を削減し、プラントベースの食生活へ移行することは、特に先進工業国において、気候変動目標の達成、公衆衛生問題への対応、アニマルウェルフェアの保護にとって極めて重要であると認識されている。学術研究では、食肉消費を促進する要因と削減における障壁が抽出されてきたが、消費者行動にこのように大きな変化をもたらす施策の有効性に関する知見は比較的乏しい。
本稿では、消費者サイドにおける食肉消費への介入策について、学際的なシステマティックレビューを示す。我々の分析によれば、既存の研究が主に取り上げてきたのは、知識や感情など、行動変容に関わる個人レベルの要因への介入策である。このような介入策においては情報提供のあり方が重要であり、健康・アニマルウェルフェア・環境に対する影響が説明されているか、肉を食べることにまつわる感情や認知の側面にフレーミングされているか、消費者のニーズに合致しているか、などの要因によって介入の効果は変わってくる。
また、生きている動物の姿や動物が持っている優しい性質に結びつけることで、食肉に対するネガティブな感情を強まり、肉の消費は減少する。さらに、食の環境におけるベジタリアン料理の認知度の向上や、料理の種類を増やすことでも、肉の消費は減少する。ベジタリアン食の購入や調理法についての教育コースもまた、肉の消費を減らすうえで有効である。
社会規範など、社会文化的要因に対する介入策の有効性についての知見はいまだ少ない。これまでの研究では、主に介入策による態度や行動意図への影響が調査されてきたため、今後の研究の方向性としては、実際の食肉消費に対するより長期的な効果や、食習慣の根本的な変化を引き起こす可能性を評価する必要がある。
Tatjana Kwasny, Karin Dobernig, Petra Riefler
2021/10/12
Towards reduced meat consumption: A systematic literature review of intervention effectiveness, 2001–2019